2008 Fiscal Year Annual Research Report
東京女子高等師範学校における家政学教育の展開と専門職意識の形成
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18500577
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
八幡 彩子 (谷口 彩子) Kumamoto University, 教育学部, 准教授 (90259763)
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Keywords | 東京女子高等師範学校 / 専門職意識 / 家政学教育 / 鹿内瑞子 / 鹿内瑞子旧蔵資料 / 小学校家庭科 / 家政学成立史 |
Research Abstract |
本研究は、日本における家政学教育の展開とそれに伴う専門職意識の形成過程を明らかにすることを目的としている。今年度は、東京女子高等師範学校家政科が設置されて以降(戦中・戦後期)の専門職意識の状況を、お茶の水女子大学家政学部初期の卒業生との比較により検討する。 研究結果の概要は以下の通り。 1.戦中期・戦後期における東京女子高等師範学校の家政学教育に関する状況把握:東京女子高等師範学校では、昭和18年に家事科を家政科と名称変更している。戦時下における女性の社会的役割への期待と(家庭)生活を学問対象として認識しようとする社会的背景の中で、女子の高等教育機関に家政学を位置づけようとする同校の意図が明確に読み取れる。しかし、実際は、時局の激化から同校家政科で学んだ卒業生は繰り上げ卒業を余儀なくされており、逆にそのことが、「家政学」への学問的探究意欲に拍車をかけたと思われる。 2.東京女子高等師範学校家政科の卒業生の活動領域や社会的発言、家政教育関連著作の調査:同校家政科卒業生には、戦後の「家政学」に関する研究・教育の礎を築いた人々が数多く含まれており、多数の研究論文や著作が確認できた。また、前年度に引き続き、戦後、小学校家庭科の教育課程行政に携わった鹿内瑞子氏の膨大な旧蔵資料の調査を行ったが、昭和30年代の家庭科の教育内容を再構築するプロセスの中で、家庭科(家政学)に関する哲学が明確に意識されていた。 3.東京女高師家政科の卒業生とお茶の水女子大学家政学部初期の卒業生とでは、家政学理念を意識した前者と、「科学的研究方法」を意識した後者という違いがあるように思われる。この点に関しては、引き続き研究を継続したい。
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Research Products
(1 results)