2009 Fiscal Year Annual Research Report
東京女子高等師範学校における家政学教育の展開と専門職意識の形成
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18500577
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
八幡 彩子 (谷口 彩子) Kumamoto University, 教育学部, 准教授 (90259763)
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Keywords | 東京女子高等師範学校 / 専門職意識 / 家政学教育 / 鹿内瑞子 / 鹿内瑞子旧蔵資料 / 小学校家庭科 / 家政学成立史 / 家政学原論 |
Research Abstract |
東京女子高等師範学校卒業生における家政学に関する専門職意識の形成過程について検討するために、同校卒業後、小学校家庭科を中心とする教育課程行政に携わった鹿内瑞子氏を取り上げ、その専門職意識について、「鹿内瑞子旧蔵資料」をもとに検討を行った。 主な研究結果は以下の通り: 1. 鹿内氏は、東京女子高等師範学校在学中に、家政(家事)に関する教育に加え、日本教育史の研究者である石川謙氏に師事し、研究を行っている。これは、女子教育と家政(学)に関する理解を深めることにつながったと考えられる。 2. 上記の東京女子高等師範学校在学中の教育・研究歴に加え、鹿内氏の家政学に関する専門職意識(とくに小学校家庭科の専門性)は、文部省入省後の小学校家庭科を中心とする教育課程行政に携わる中で強化されていった部分が大きいと考える。 3. 鹿内氏が文部省に入省した昭和20年代は、小学校家庭科の存続が議論された時期であり、鹿内氏に小学校家庭科の「意義」を自覚させる上で、重要な社会背景になった。 4. 以上の検討をふまえると、在学中の家政学に関する教育・研究に加えて、家政に関する職業についた後の経験によってもその「専門性」は深められていくことがわかる。 5. 現在、教職分野などで高度な専門性を備えた職業人の育成が求められているが、「専門性」を身につけるには、大学等に在学中の教育成果のみならず、職業についたあとの経験もきわめて重要な要素として関わっていくと考えられる。
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Research Products
(1 results)