2006 Fiscal Year Annual Research Report
水晶振動子を用いたナノグラム質量分解能での洗浄性評価と理論的解析
Project/Area Number |
18500585
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University of Fashion and Design |
Principal Investigator |
田川 由美子 神戸ファッション造形大学, ファッション造形学部, 准教授 (40207808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 景子 京都教育大学, 教育学部, 教授 (30243356)
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Keywords | 水晶振動子 / 水系洗浄 / 固体粒子汚れ / 洗浄性評価 / 表面自由エネルギー / 接触角 |
Research Abstract |
微小質量天秤でもある水晶振動子(QCM)を洗浄基質に利用してモデル洗浄系を構築し、ナノグラムオーダーで水溶液中での汚れ粒子の脱離現象を定量的に調べた。つぎに、粒子、基質、液体の表面自由エネルギーを求めて洗浄前後の自由エネルギー変化と洗浄現象の関係について検討した。また、QCMを用いた洗浄性評価法の妥当性について調べた。 モデル固体粒子汚れには、ポリエチレン粒子およびナイロン粒子を用いた。洗浄基質には、QCMの金電極表面と電極に高分子物質(ポリエチレン、ナイロン、トリアセテート)をスピンコート法により被膜させた表面を用いた。洗浄実験はすべて水溶液中でスターラーにより機械力を加えて行い、条件により塩化カリウム、エタノール、水酸化ナトリウムを添加した。粒子脱離率は、洗浄前後のQCMの周波数変化から粒子付着重量を求めて算出した。表面自由エネルギーの各成分は接触角測定法を用いて算出した。 洗浄基質の膜厚、水の接触角、平均表面粗さを調べたところ、性質の異なる表面が作製できた。粒子脱離率の経時変化を調べたところ、60分後に脱離率は平衡状態に達した。そこで、各条件での60分後の粒子脱離率を求めた。その結果、脱離率は、粒子、基質および液体の種類により異なり、ナイロン粒子の方がポリエチレン粒子よりも脱離しやすいことがわかった。洗浄液にエタノールや水酸化ナトリウムを添加すると、脱離率が大きくなる傾向が認められた。次に、粒子脱離に伴う自由エネルギー変化を算出して脱離率との関係について調べたところ、自由エネルギー変化が小さいほど脱離率が大きくなる傾向が認められた。また、水酸化ナトリウム存在下では同じエネルギー変化でも粒子が脱離しやすいことが示された。以上の結果から、固体粒子汚れの脱離現象は自由エネルギー変化で基本的に説明できることがわかった。また、QCMを用いた洗浄性評価法は、汚れの洗浄現象を調べる方法として妥当であることが示唆された。
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