Research Abstract |
試料の大きさと一口量が官能評価および咀嚼性に及ぼす影響を検討した。 材料の大根を1cm角に切断後20分間加熱し(味付けおよび味付けなし),それらをさらに1/2,1/4,1/8,みじん切りに切断したものを大きさの異なる試料とした。1口量は,前述1cm角分を1〜6個とした。以上,大きさ,一口量および味付けの異なる60種類の試料について,官能評価(7段階尺度の採点法,食べやすさなど4項目),破断試験(破断荷重など3項目),筋電位測定(咀嚼筋活動量など6項目)を行った。解析は二元配置分散分析,相関分析および主成分分析を行った。 実験の結果,味付け試料では,大きさが小さくなるほど官能的に噛みにくく,まとまりにくく,食べにくいと評価され,一噛み当たりの咀嚼筋活動量が減少し,咀嚼回数・時間は増加した。一口量は,多くなるほど噛みやすく,食べやすいと評価され,咀嚼回数・時間が増加した。破断荷重,破断歪み率および破断エネルギーは,大きさが大きいほど大きくなり,みじん切り以外は一口量が多くなるほど大きくなった。なお,味付けなしと比較したところ,味をつけることは,食べやすさ,噛みやすさ,一噛み時間などに影響を与えるが,まとまりやすさ,一噛み当たりの咀嚼筋活動量や咬合力,咀嚼回数などへの影響は小さいと考えられた。味付け試料について,大きさと一口量の影響を総合的に捉えるため,全測定値を用いて主成分分析を行ったところ,第4主成分まで抽出され,第1主成分は硬さと食べやすさ,第2主成分は口中滞留時間と考えられた。試料の大きさが小さくなるほど硬さ,食べやすさは負,口中滞留時間は正の方向へ,また一口量が多くなるほど硬さ,食べやすさおよび口中滞留時間は正の方向へ移動することが明らかとなった。
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