2007 Fiscal Year Annual Research Report
乾燥卵白をユニバーサルデザインフーズに応用するための基礎研究
Project/Area Number |
18500617
|
Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
寺澤 洋子 Nakamura Gakuen College, 栄養科学部, 准教授 (50390307)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮澤 光博 独立行政人農業生物資源研究所, 絹タンパク素材開発ユニット, 主任研究員 (90370684)
|
Keywords | 咀嚼・嚥下食 / トロミ調整剤 / ユニバーサルデザインフーズ / 近赤外分光法 / 高齢者 / 卵白 / 水和構造 |
Research Abstract |
本研究は高齢者にとって適切な食感と,高い栄養価を兼ね備えたユニバーサルデザインフーズ(介護食品)の開発を行うため,アミノ酸組成および調理性に優れている卵白を用いて新規なトロミ調製剤もしくはゲル化剤の開発を行うことを目的としている。 本年度は市販の卵白粉末を用いて濃度の異なる懸濁液を調製し,様々な温度で加熱処理を行い,得られたゾル状およびゲル状試料の物性について解析を行った。卵白濃度5%:処理温度80,90度,卵白濃度10%:処理温度70度、卵白濃度15%:処理温度60度で調製した4種の試料は,厚生労働省が定める「そしゃく、嚥下困難者用食品の許可基準」を満たす物性であることが示された。またクリープメーターを用いて硬さ,凝集性,付着性のバランスについて解析を行った。その結果上記4種の試料と共に,卵白濃度5%:処理温度60,70度,卵白濃度10%:処理温度60,80度で調製を行った試料は,食品としてバランスの高いテクスチャーを有することが示された。 一方,分子科学的な観点から卵白ゲルの物性を解析するため,光透過能の高い近赤外分光法を用いて調製卵白ゲルの水和構造と卵白分子の結晶性について解析を行った。水の吸収ピークの解析より,卵白ゲル中には水素結合の強い水分子種が多く含まれていることが示された。またタンパク質分子に由来するバンドの解析では,結晶性の高いタンパク質分子に特有のピークは観測されず,調製卵白ゲルの消化性は低下しないと推測された。これらの知見から,近赤外分光法が卵白ゲルの物性を解析する手段として有用であることが示された。
|