2006 Fiscal Year Annual Research Report
保育活動における幼児の摂食行為の発達と保育指導に関する研究
Project/Area Number |
18500619
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
石黒 広昭 立教大学, 文学部, 教授 (00232281)
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Keywords | 摂食 / 食行為 / 保育 / 保育者 / 介助 / 談話 / 発達 / フィールドリサーチ |
Research Abstract |
保育園に在籍する子どもの摂食行為がどんな社会的資源に支えられ、どのような様式で、どのような経過を経て発達するものであるのか明らかにすることが本研究の目的である。本研究は0〜2歳までの子どもの摂食行為研究の継続研究である。 (1)調査当該年度のフィールドリサーチでは、4歳児の食事場面の記述を可能にする資料を得た。基礎資料は参与観察から得られたフィールドノーツ、ビデオ記録、ICレコーダー等による会話記録、それに保育者、栄養士のインタビュー記録である。4歳児クラスの保育集団全体をみると同時に、これまで集中的に観察してきている数名を中心的に調査した。 (2)既存データの分析調査と平行して既存データとしてH17年度に申請者が収集して来た3歳の子どもの食事場面のデータを整理した。保育者による介助行為、子どもの摂食行動に大きな変化が見られた観察回を取り出し、その観察回のビデオ記録の食事場面をデータベース化した。その中から、さらにポイントとなる行為場面を取り出し、その部分の保育者と子どものやりとりを集中的に分析した。 クラス編成や新園舎の利用といった大きな環境変化を除くと、年齢が低い頃には椅子やテーブル、食具、食べ物など、その物理的環境に大きな変化が見られたが、後半になるとむしろソフト面として保育指導内容が複雑になり、言語・表象環境の変化が見られた。特に、三歳以降の時期に特徴的なのは、子どもたちがただ「食べているだけではない」ことである。何よりも特徴的なのは、その談話のあり方である。食事は食具を使って食べ物を処理していく道具的活動(instrumental work)(Shultz et al.,1982)である。しかし、この頃の語りはその「食べる」という活動に動機付けられたものだけではなく、それとは全く無関係な内容についてもなされる。その会話の連続性は「今ここ」の状況(配膳された食べ物など)だけでなく、言語によって照会される「そこにはない」共通の話題によって保たれる(ErickSon,1990)。これは大人の食事場面における談話の一般的特徴である。 (3)研究成果発表VAD研究会(2006.9北海道大学)、日本発達心理学会大会(2007.3埼玉大学)、NERA(ノルディック教育調査学会大会)(2007.3フィンランド、Turku大学)にて成果を報告。
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