2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18500621
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
藤原 葉子 お茶の水女子大学, 生活科学部, 助教授 (50293105)
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Keywords | 脂肪細胞 / 多価不飽和脂肪酸 / 分化 / アディポサイトカイン / 炎症 |
Research Abstract |
脂肪細胞が分泌する種々のサイトカイン(アディポサイトカイン)は糖尿病、高血圧、動脈硬化に関与し、その分泌は脂肪細胞の肥大化や分化程度が関わっていると考えられている。したがって、前駆細胞から脂肪細胞への分化・成熟過程に関わる細胞内分子メカニズムを探求し、脂肪細胞への分化を抑制する食品因子を探索することは、生活習慣である食生活の改善により、肥満由来の疾病を予防するために重要である。本研究は脂肪細胞の分化・成熟による生理的意義、および食物による脂肪細胞に対する影響を検討することを目的とし、18年度には、ドイツUlm大学で樹立されたヒト前駆脂肪細胞株(SGBS cell)を用いて、ヒトにおける脂肪細胞の分化・成熟過程における遺伝子プロファイルをDNAマイクロアレイで網羅的に探索し、従来使用されているマウス由来細胞との比較検討を行った。また、食品成分の中で、これまで申請者が手がけてきた多価不飽和脂肪酸(PUFA)の脂肪細胞における作用を検討した。 DNAマイクロアレイの結果によると、ヒトSGBS cell分化脂肪細胞の遺伝子プロファイルは、広く用いられているマウス由来の3T3-L1 cellと特に大きく異なるものではなかった。そこで、3T3-L1において既にいくつかの報告が見られているPUFAの脂肪細胞への分化時点での影響ではなく、分化した脂肪細胞への影響を検討することとした。PUFAとしてアラキドン酸(AA)とエイコサペンタエン酸(EPA)を添加して24時間後にmRNAを抽出し、DNAマイクロアレイで解析したところ、予想に反してPUFAは細胞の分化マーカー遺伝子には変化を与えず、炎症性サイトカインの発現が増加した。ここまでの結果は18年度の分子生物学会で発表したが、添加するPUFAの濃度や形態、坑酸化剤との作用などについて、19年度はさらに詳細に検討する予定である。
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