2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18500621
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
藤原 葉子 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 准教授 (50293105)
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Keywords | 脂肪細胞 / 多価不飽和脂肪酸 / DNAマイクロアレイ / アディポサイトカイン / 炎症 |
Research Abstract |
脂肪細胞が分泌する種々のサイトカイン(アディポサイトカイン)は糖尿病、高血圧、動脈硬化に関与し、その分泌は脂肪細胞の肥大化や分化程度が関わっていると考えられている。したがって、前駆細胞から脂肪細胞への分化・成熟過程に関わる細胞内分子メカニズムを探求し、脂肪細胞への分化を抑制する食品因子を探索することは、生活習慣である食生活の改善により、肥満由来の疾病を予防するために重要である。 本研究は脂肪細胞の分化・成熟による生理的意義、および食物による脂肪細胞に対する影響を検討することを目的とし、ドイツUlm大学で樹立されたヒト前駆脂肪細胞株(SGBS cell)を用いて、ヒトにおける脂肪細胞の分化・成熟過程における遺伝子プロファイルをDNAマイクロアレイで網羅的に探索し、従来使用されているマウス由来細胞との比較検討を行った。また、食品成分の中で、これまで申請者が手がけてきた多価不飽和脂肪酸(PUFA)の脂肪細胞における作用を検討した。DNAマイクロアレイの結果にから、PUFAは脂肪細胞の分化を抑制するが、成熟した脂肪細胞においてPUFAは細胞の分化マーカー遺伝子には変化を与えず、むしろ炎症性サイトカインの発現を増加させた。脂肪細胞自体の炎症性サイトカイン分泌量は非常に少ないが、このことは重度肥満者においては、食事中のPUFAの摂取が脂肪組織における炎症反応を悪化させる可能性を示唆するため、食事因子による予防を目的として、PUFA(特にアラキドン酸)による脂肪細胞における炎症性サイトカインを低下させる食品成分を探索したところ、α-tocopherolやγ-tocotorienol、レスベラトロールが有効であることがわかった。この作用は抗酸化やアラキドン酸由来の炎症性サイトカイン生成のみでは説明できず、メカニズム解明は今後の見当が必要である。
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