2006 Fiscal Year Annual Research Report
前糖尿病期の病態に対応した食行動変容プログラム開発
Project/Area Number |
18500628
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamaguchi Prefectural University |
Principal Investigator |
乃木 章子 山口県立大学, 生活科学部, 助教授 (90312305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩飽 邦憲 島根大学, 医学部, 教授 (10108384)
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Keywords | 糖尿病 / 栄養学 / 行動学 |
Research Abstract |
前糖尿病期の早期発見・早期介入の重要性が指摘されている。我々は、2000年から継続して行っている肥満改善教育プログラムに、前糖尿病期を判別するための75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を導入し、2006年度参加者を対象に、前期糖尿病の病態とそのリスクにっいて学習し教育介入を行う「前糖尿病期の病態に対応した食行動・身体活動変容プログラム」を実施した。 参加者数は、男性21人、女性42人、平均年齢は男性57.2±9.7歳、女性55.8土8.0歳であった。プログラム参加により、摂取熱量は、男性で481kcal、女性で405kcal有意に減少した。消費熱量は男性で115kcal、女性で106kcal有意に増加した。体重は、男性で2.1kg減、女性で2.9kg減、BMIは、男性で0.7kg/m^2、女性で1.1kg/m^2、ウエスト囲は男4.9cm、女5.3cmそれぞれ有意に減少し、特に内臓肥満の指標であるウエスト囲の減少が顕著であった。血清脂質は、男性で中性脂肪25.8mg/dlの有意な減少を、女性では総コレステロール11.9mg/dl、LDL-C 7.6mg/dl、中性脂肪13.6mg/dlの有意な減少を認めた。血圧は、男性では有意な変化は認めなかったが、女性では収縮期血圧が6.OmmHg有意に減少した。空腹時血糖は男女とも有意な改善は認めず、インスリンとHOMA-IRは、女性で有意に低下した。 75g0GTTでは、介入前NGT 52%、IFG 3%、IGT 25%、IFGかつIGT 11%、T2D 8%であったが、介入後はNGT 71%、IFG 5%、IGT 11%、IFGかつIGT 8%、T2D 5%とそれぞれ有意に改善した。糖負荷30分後の血糖値は161mg/dlから151mg/dlに6%、2時間後の血糖値は145mg/dlから126mg/dlに13%それぞれ有意に低下した。血糖のAUCは8%の有意な低下を認めた。また、IGT群では、2時間後の血糖値は160mg/dlから129mg/dlに19%、AUCは11%の有意な低下を認めた。IGT群でHOMA-IRは2.0とインスリン抵抗性を認めていたが、介入後は1.4に有意に低下し、インスリン抵抗性が改善した。空腹時インスリンは8.2mU/lから5.6mU/lに、糖負荷120分後は75.7mU/lから44.2mU/lにそれぞれ有意に低下し、インスリン過剰分泌が改善した。 我々が実施した3カ月間の食行動・身体活動変容プログラムにより、摂取エネルギーの20%減少と消費エネルギーの5%増加、IGT領域の食後血糖値およびインスリン抵抗性の改善が確認できた。今年度も同様にプログラムを実施し、プログラム評価を行う計画である。
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