2008 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児の消化吸収機構の変化に基づいた食物アレルギー発症1次予防の栄養マネジメント
Project/Area Number |
18500638
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Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
藤田 守 Nakamura Gakuen College, 栄養科学部, 教授 (60037471)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 淳 中村学園大学, 栄養科学研究科, 教授 (80080547)
馬場 良子 産業医科大学, 医学部, 講師 (90271436)
松隈 美紀 中村学園大学, 短期大学部・食物栄養学科, 助教 (40259669)
近江 雅代 中村学園大学, 栄養科学部, 講師 (20301682)
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Keywords | 食物アレルギー / 新生児期ラット / 消化管 / 小腸 / 吸収上皮細胞 / 消化管粘膜バリア / β-lactoglobulin / Brown Norway rat |
Research Abstract |
食環境の多様化と共に、膨大な量と種類のアレルゲンを含んだ食物および添加物の摂取によって、食物アレルギーが確実に増加している。消化管粘膜の防御機構が未熟な乳幼児のアレルギー疾患の大半は食物に起因し、特に0歳児の発症率が高いといわれている。そこで、食物アレルギー発症機序の解明を含めた根本的対策が急務となっている。本年度は、これまでの研究成果を基に、食物アレルギー発症機序の初期的段階(経消化管感作、経胎盤感作、経母乳感作)のエビデンスに基づいた栄養マネジメントに関する統合的研究を行い、乳幼児の健康を促進し、食物アレルギー発症を未然に防御(1次予防)することを目的とし、電子顕微鏡法および免疫組織化学法を用い分子栄養形態学的検索を行った。新生児期母乳栄養群および混合栄養群の小腸管腔内に高分子物質を投与し比較した結果、空腸吸収上皮細胞において高分子物質の通過経路に差異があり、吸収機構が異なることが示唆された。回腸吸収上皮細胞ではほとんど差異が見られなかった。乳飲期母乳栄養群の小腸管腔内に高分子物質またはβ-lactoglobulinを投与した結果、空腸吸収上皮細胞において母乳中の抗体を取り込む経路および粘膜固有層内に高分子物質またはβ-lactoglobulinの侵入が認められ、食物アレルギー発症機序の初期的段階の可能性が示唆された。また、Brown Norway rat(免疫・アレルギー研究に有用)とWistar系ratの胃、小腸、大腸を比較すると、粘膜バリア機構に差異が認められた。さらに小腸のバイエル板上皮および大腸粘膜上皮下の防御機構にも差異があることが示唆された。
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