2006 Fiscal Year Annual Research Report
食塩を主題とした科学知識の主体的体系化を促す探究型化学実験教材の開発とWeb化
Project/Area Number |
18500647
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
田口 哲 北海道教育大学, 教育学部, 助教授 (60281862)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 啓子 北海道教育大学, 教育学部, 講師 (50322871)
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Keywords | 科学教育 / 実験・観察 / 化学教育 / 理科教育 / 教材開発 / 塩化ナトリウム / 結晶成長 |
Research Abstract |
小中学校理科で「物質の溶解」を学ぶ単元では,主に飽和食塩水からの結晶析出を扱っているが,結晶が析出する過程をリアルタイムで観察・記録することはほとんど行われていない。しかし,児童・生徒にとって興味が湧くのは,むしろこの動的過程であると思われる。そこで本研究は,食塩水滴から水が蒸発し結晶が析出する際の結晶数の時間変化ならびに結晶成長速度の測定が可能なシステムにより,系の湿度と温度,さらに食塩水滴の厚みを制御しながら結晶析出過程を調べることが可能な教材を開発することを目的としておこなった。 種々の濃度の食塩水38μlを,デジタルピペットを用いて洗浄済みのスライドガラス上に滴下した。このスライドガラスの水滴が接触する円形部分以外を疎水化することで,食塩水滴の厚みの制御に成功した。この水滴から水が蒸発し結晶が析出する様子を,デジタルビデオカメラを取り付けた実体顕微鏡で動画として撮影し,結晶数の時間変化と結晶成長速度を測定した。装置は,金属フレームと透明ビニルシートから自作した収納ラックに収め,系を開放する事なく,スライドガラス上に食塩水滴を滴下できるものとした。系内の湿度は,加湿器およびシリカゲルを用いてある程度制御することに成功した。ヒーターとサーミスタを用いて系の温度制御にも成功した。上記は,食塩水滴全体を撮影するシステムであるが,CCDカメラつき顕微鏡を用いて,食塩水滴の一部分に注目し1個の食塩結晶にフォーカスしてその成長の様子を動画化することにも成功した。 さらに,次年度の研究の予備的検討として,飽和に対して97%の濃度の食塩水滴から水が蒸発する際の結晶析出挙動に対して,湿度と食塩水滴の厚さが与える影響を本システムにより調べた。ここで,結果に影響を与える他の因子はできるだけ一定に維持した。その結果,本実験教材は,結晶析出の本質を理解できる教材となり得ることがわかった。
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Research Products
(1 results)