2009 Fiscal Year Annual Research Report
食塩を主題とした科学知識の主体的体系化を促す探求型化学実験教材の開発とWeb化
Project/Area Number |
18500647
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
田口 哲 Hokkaido University of Education, 教育学部, 准教授 (60281862)
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Keywords | 科学教育 / 実験・観察 / 化学教育 / 理科教育 / 教材開発 / 塩化ナトリウム / 結晶成長 / 演示実験 |
Research Abstract |
昨年度までに,食塩水滴からの水の蒸発による食塩結晶析出過程の理解に必要な基礎的知識についての演示実験の開発と動画化をほぼ終えることができたが,なぜ食塩が水に溶解するのかを理解するための演示実験の開発と動画化が課題として残っていた。本年度は,「化学反応とエネルギー変化」等の観点からこの課題ゐ教材化をおこなった。この観点は何れも微視的視点を必要とするが,はじめから微視的視点を持ち込むことはこれらの内容の理解にとって逆に障害になる恐れがある。したがって,私たちの感覚で認識可能な巨視的視点に基づく力学系のエネルギー変換(重力場における位置エネルギー→運動エネルギー→熱)から出発し,これを分子系に対するアナロジー(分子中の原子間の結合距離の上昇(結合の切断)→位置エネルギーの増加→吸熱,原子間の結合の形成→位置エネルギーの低下→発熱)として使用することで,微視的視点での「化学反応におけるエネルギー変化」の理解への橋渡しとするような実験教材を開発した。具体的には,状態変化(アセトンの減圧沸騰・酢酸ナトリウム三水和物過冷却液体の凝固)化学反応(塩化水素とアシモニアの反応による塩化アンモニウム生成)に伴う発熱・吸熱の演示実験を開発し動画化したのち,ここでの発熱・吸熱の原因を理解するためのシミュレーション教材を開発した。さらに,これまでに撮影した実験映像の動画の体系的教材化をおこなった。現在,これらの成果をまとめて論文として準備中である。
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Research Products
(5 results)