2006 Fiscal Year Annual Research Report
中学校におけるコミュニケーション活動を中心にした科学教育に関する実証的研究
Project/Area Number |
18500653
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山下 修一 千葉大学, 教育学部, 助教授 (10272296)
|
Keywords | コミュニケーション活動 / 科学教育 / 一貫性 |
Research Abstract |
平成18年度は,広範に適用可能な知識を生徒に獲得させ,お互いに「その考えは筋が通っていますか?」のような質問をし合うコミュニケーション活動を通じて,様々な場面にも獲得した知識を用いて,一貫して説明させる授業モデルの有効性を検証した。研究協力者で中学校教員の西山が,公立中学校3年生3クラスを対象にして,5時間の酸化還元学習に酸素との化合のしやすさを示す「化合力」を用いて,一貫して説明することを促した授業を展開した。生徒の一貫した説明を促し,未習の課題にも「化合力」を用いて一貫した説明ができるようになったのかなどの効果を探った。グループでの発話内容や事後・遅延(2ヶ月後)調査を分析したところ,授業を通じて生徒が一貫して説明するようになり,事後調査での未習課題「たたら製鉄」の説明に「化合力」を適用し,遅延調査では「化合力」を用いた説明の割合が増加(事後44%→遅延60%)した。筋を通して説明するようになった生徒は,酸化還元現象を「化合力」を用いて一貫して説明し,遅延調査の段階でも理解が保持されやすいと考えられる。そこで,一貫して説明している群と非一貫群を比較し,一貫群のように一貫して説明するようになると,様々な事象に一貫して「化合力」を適用するようになり,2ヶ月後でも「課題に対する説明の正答率」や「理解が深化したという認識」が保たれていたことを明らかにした。そして,5時間の授業終了後も,日常の生徒同士の会話の中に「その考えは筋が通っている?」という発話を確認した。
|