2006 Fiscal Year Annual Research Report
国際比較に基づく日本型環境教育の理念的モデルに関する研究
Project/Area Number |
18500656
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
柴崎 文一 明治大学, 政治経済学, 教授 (90260124)
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Keywords | アメリカ環境教育 / プロジェクト・ワイルド / プロジェクト・ラーニング・ツリー |
Research Abstract |
本年度は、アメリカの環境教育について調査・研究を行い、特にプロジェクト・ワイルドとプロジェクト・ラーニング・ツリーに関する最新の内容を把握することに努めた。プロジェクト・ワイルド(Project WILD)は、アメリカのWREEC(西部地域環境教育協議会)とWAFWA(西部地域魚類・野生生物局協会)が、幼稚園から高等学校までの児童・生徒を対象として策定した環境教育のパッケージプログラムであり、1983年に最初のプログラムが公開されている。その後、2000年の大幅な改定をへて、現在はCEE(Council for Environmental Education)によって管理と普及が行われている。日本では公園緑地管理財団がライセンス契約のもとにテキストの翻訳、ワークショップ等を行っている。しかし日本語版は、改定前の1997年版を原典として現在も使用しているため、この重要な変更が反映されていないという重大な問題を抱えている。本年度の研究では、独自に入手した最新版のテキストを精査し、現在のプロジェクト・ワイルドの内容を正確に把握することに努めた。 プロジェクト・ワイルド以上に大きな問題であるといえるのは、プロジェクト.ラーニング・ツリー(Project Learning Tree)である。これは、1974年からアメリカで展開されている環境教育プログラムで、プロジェクト・ワイルドの前身となったものである。日本ではERIC国際理解教育センターがライセンス契約のもとに、テキストの翻訳・出版とワークショップを行っている。しかしこの翻訳は、1975年当初のものを原典とするもので、その後アメリカでは毎年のようになされている改定が、全く反映されていない。そのため、わが国の環境教育関係者に対し、プロジェクト・ラーニング・ツリーの内容が極めて貧弱なものであるという印象を与えている。しかしながら現在アメリカで使用されているテキストの内容は、日本語版とは比較しようもないほど充実したものであり、ぜひこの内容を広く日本に紹介したいと考えている。
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