2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18500674
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
伊藤 稔明 Aichi Prefectural University, 文学部, 准教授 (40295572)
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Keywords | 科学教育 / 理科教育史 |
Research Abstract |
2007年度の研究成果は、論文としては2件、学会発表としては1件であった。なお、その他に既に掲載決定している学会誌掲載予定の論文が1件ある。 論文「小学科課程表と文部少書記官西村貞」では、小学校の教科史上はじめて理科を規定した「小学科課程表」の作成過程において、当時、理学教育者として第一人者と認識されていた少書記官西村貞の果たした役割と「小学科課程表」における理科の位置づけを考察した。「小学科課程表」は1885年8月の教育令再改正に伴って作成されたものであるが、その通牒はその年の12月にまで滞っていた。この遅滞は西村の東北・北海道への学事巡視にあると結論付け、そのことが西村の理科誕生における強い影響力を伺われるものとなっている。 論文「理科新設と皇道主義的教育思想」では、理科新設の背景として皇道主義的な教育思想の影響が存在するのかについて論じた。理科教育史の研究では、改正教育令の時期に台頭する皇道主義的教育思想が科学教育を忌避し、"理科"教育が誕生したとする説が広く知られている。しかし、この当時とくに森有礼文部大臣期の教育の方向性を具体的に検討すると、そのような理科新設の背景設定には無理があることが看取される。論文は、皇道主義的教育思想を背景とすることには妥当性がないと結論付けた。 中部教育学会における学会発表は、再改正教育令期に文部省内で作成され、案の段階で消え去った「小学校及小学教場教則綱領」の成立時期を考察したものであった。
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