Research Abstract |
教育用電子教材の共有と再利用は世界的な大きなテーマとなっており,学習者にとっては自分に適した教育コンテンツを容易に入手することができ,また教員にとっては自分の授業を構築する際に参照できる資料を入手することができる仕組みができつつある。しかしながら,公開された教育コンテンツの再利用が促進されているとは必ずしも言えない。その理由として,(1)公開されている教育コンテンツは,一学期間の授業における教育内容を体系化した上で作成したものであり,いわば一つの作品であるため,教育内容が類似していても,個々の教員の教育方針・教育方法の相違により,そのままの利用が困難である場合がある,(2)教育コンテンツの一部を部品として取り出し,それを素材として組み合わせて教育コンテンツを再構成していくのは時間を要し,また再利用した素材が改版・改良・修正された場合には,その改版等を知る手段がなく,また知り得たとしても自分で再構成したコンテンツの中の素材と置き換えるのは困難である場合がある,等が挙げられる。 本研究においては,教育コンテンツを一つの完成されたソフトウェア,学習オブジェクトをモジュール化されたソフトウェア部品と捉えた。すなわち,ソフトウェアの開発工程においては,協調的分散的開発が一般的であり,開発過程において,さまざまな版管理が必要となる。また,完成されたソフトウェアに対して,機能追加,バグ修正といった改定作業が伴うが,教材の開発も類似している。さらに,ソフトウェアの開発においては,完成したソフトウェアとは別バージョンを開発することがある。これは一般的に機能拡張のためであるが,教材の開発においては,個々の教員が利用しやすい形での改版ととらえることができる。そこで本年度は,既存のバージョン管理システムSubversionの本研究課題への適用可能性を検討し,eラーニングのコンテンツとして広く利用されているHTMLファイルやOfficeドキュメントのバージョン管理での管理方法について調査検討した。
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