2006 Fiscal Year Annual Research Report
第二言語処理は自動化が可能なのか?-光トポグラフィによる脳科学的検証より-
Project/Area Number |
18500739
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Gifu Shotoku Gakuen University |
Principal Investigator |
大石 晴美 岐阜聖徳学園大学, 経済情報学部, 助教授 (50387479)
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Keywords | 英語教育 / 第二言語習得 / 脳認知科学 / 教授法・学習理論 / 教育工学 |
Research Abstract |
1.言語習得においては、学習を重ねるにつれて意識的処理から無意識的・自動的処理に移行していくのかどうかということについて研究が始まり、現在尚、移行不可能説と可能説に議論が分かれている。本研究の目的は、これまで長く議論されてきたこれら二つの説の当否について、脳科学の最新のテクノロジーである光トポグラフィを用いて、直接的に決着をつけることであった。平成18年度は、パイロット研究として、30名の大学生に英語のリーディング課題を実施した。 2.平成18年度実施とその結果 (1)大学生30名の実験参加者は、本務校岐阜聖徳学園大学の大学生および非常勤先の名古屋大学の1年生から4年生を対象とした。あらかじめ、TOEICの結果で、初級(300-399点)、中級(400-499点)、上級(500点以上)に分類し、リーディング課題遂行中の言語野の血流量の変化を測定した。 (2)実験結果において、学習者の習熟度と脳血流量の関係は、逆Uカーブを示し、習熟度が極めて低い学習者は、脳内が無活性状態で、脳血流量の増加が低く、中級学習者が、脳血流量の増加がもっとも高く、上級学習者になるにつれ、ある地点を境に再度脳血流量の増加が低く自動活性状態になっていくことが観測された。 (3)本実験結果から、学習を積み重ねにつれ、脳活性状態は、意識的から無意識的処理状態に変化していくことがしめされ、これまで長い間議論されてきた、移行可能説を支持する結果となった。 (4)来年度の研究目的は、英語教授法に焦点をあて、"Narrow Reading"の効果を検証する。"Narrow Reading"とは、リーディング指導の手法の一つで、ある特定の分野の読み物を集中的に読むことで、語彙力、構文力を高めると同時に、読解力を高めるとされる方法である。第一日目にリーディング課題遂行中に脳活性状態を測定し、ある一定期間のトレーニングの後、最終日に再度脳活性状態を測定し、初日の脳活性状態と比較し、リーディングのトレーニングの脳科学的効果を測定する。
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