2006 Fiscal Year Annual Research Report
漢訳西洋暦算書の基礎調査と近世国学者への影響に関する研究
Project/Area Number |
18500760
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Maebashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
小林 龍彦 前橋工科大学, 工学部, 教授 (10269300)
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Keywords | 漢訳西洋暦算書 / 和算 / 本居宣長 / 平田篤胤 / 国学思想 |
Research Abstract |
平成18年度は研究課題「漢訳西洋暦算書の基礎調査と近世国学者への影響に関する研究」の初年度にあたり、東日本の大学付属図書館等に収蔵される漢訳西洋暦算書の所在と伝播を中心に調査した。以下は、本年特に重点実施した『西洋新法暦書』に関する調査概要である。 秋田県立図書館蔵の「崇禎暦書」100巻の伝播は依然不詳ながらも、再度の調査で書き込み等を確認することができ新たな研究の手がかりを得ている。東北大学付属図書館蔵の写本「西洋新法暦書」(請求番号:狩7・20981・28)28冊は「明時館図書印」の朱印を認め、幕府天文方渋川景佑の旧蔵本と言える。群馬県館林市立図書館蔵秋元文庫『西洋新法暦書』130冊は、国内現存の完本として貴重である。ただ、虫食いによる痛みが進行し重篤な状況にあって、補修対策が急がれる。国立公文書館蔵『西洋新法暦書』は毛利高標所蔵本であるが、朱筆の書き込みが散見でき筆者の特定が侯たれる。同書100冊目の『遠鏡説』は浄書本であり精美である。 平成18年度の研究発表は以下の通りである。 (1)小林龍彦:「用語「洋算」と草稿「三角惑間」」、日本科学史学会総会年回、平成18年5月 (2)小林龍彦:「館林市立図書館蔵の『崇禎暦書』について」、群馬県和算研究会総会、平成18年6月、 (3)小林龍彦:「福田治軒の『代微積拾級譯解』と鉄道助佐藤政養」、第10回『数学史の研究』、2006年8月 (4)小林龍彦:「秋元文庫の『暦算全書』と『霊臺儀象志』」、第4回群馬県和算研究会セミナー、平成18年10月 (5)小林龍彦:「雍正二年版『暦算全書』を巡って」、東アジア数学史研究国際プログラム第1期第2集会、平成19年3月 平成19年度は、18年度の調査も持続させながら、西日本地域における主要な研究機関の史料調査を計画している。また、中国での史料調査も実施する予定である。
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Research Products
(3 results)