2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18500762
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
林 真理 工学院大学, 工学部, 助教授 (70293082)
|
Keywords | 倫理学 / 生命倫理 |
Research Abstract |
本研究は主に1970年代までの、日本における、生命に関する倫理的な思想の歴史の解明を目的とする研究である。具体的な解明目標は、次のようなものである。(1)1970年代までに日本国内で行われてきた、生命の倫理に関わる具体的な問題をめぐる論争について、文献資料および関係者へのインタビューを通じて調査を行い、その論争を再構成する。(2)そういった中から、80年代以降のいわゆるバイオエシックスの台頭によって逆に見えなくなっていた日本固有の生命倫理思想の存在に着目して、それらの現代的意義を検討する。 本年度は、これらの時代に出版された書籍や雑誌を収集して検討することにより、年表および一覧表づくりの作業に着手した。とりわけ、現代の尊厳死論争へとつながる安楽死問題については、法制化の是非を主とした形式的、手続き的論争に陥る以前の段階の論争を再構成し、安楽死に賛成およびどのような考え方が存在したのかをまとめた。社会の高齢化、封建的家族制度の崩壊、自由主義・個人主義の考え方、専門家としての医師の立場等、論争の背景を構成する様々な文脈を読みとることができた。
|