2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18500762
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
林 真理 Kogakuin University, 工学部, 准教授 (70293082)
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Keywords | 論理学 / 生命論理 |
Research Abstract |
本研究は主に1970年代までの、日本における、生命に関する倫理的な思想の歴史の解明を目的とする研究である。具体的な解明目標は、次のようなものである。(1)1970年代までに日本国内で行われてきた、生命の倫理に関わる具体的な問題をめぐる論争について、文献資料および関係者へのインタビューを通じて調査を行い、その論争を再構成する。(2)そういった中から、80年代以降のいわゆるバイオエシックスの台頭によって逆に見えなくなっていた日本固有の生命倫理思想の存在に着目して、それらの現代の意義を検討する。 本年度は、そういった歴史的な整理を終えて、そこで見いだされる生命尊重の思想について、いくつかのキーワードに注目して生理する作業に着手した。注目すべき考え方としては、生命の偶然性、固有性、有限性、関係性をとりあげる。これらの概念を整理し、その内容を分析しつつある。たとえば、偶然性の概念は、自然の製御不可能性や生命の神秘、出会いにおける驚きといった概念とリンクしていることを考慮に入れて、人工受精、体外受精などの補助生殖医療技術をどのように捉えることができるか、あるいは出生前診断、受精卵診断の技術をどのように捉えることができるかという論点に進みつつある。 このように生命論の観点から、生命論理の基礎付けについて新たな提案をすることが一つの目標として形をとりつつある
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