2006 Fiscal Year Annual Research Report
戦前期日本のアジアにおける科学研究の国際協力に関する研究
Project/Area Number |
18500766
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
加藤 茂生 早稲田大学, 人間科学学術院, 講師 (30328653)
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Keywords | 科学技術史 / 科学社会学 / 科学基礎論・技術論 / 殖民地科学史 / 対外文化政策 |
Research Abstract |
2006年度は上海自然科学研究所に関する史料の収集・整理、研究者の基礎的データの整理、物理・化学分野の重要な研究の特徴分析を行った。 まず史料については、基本的なものとして、上海自然科学研究所の基礎的なデータが記載されている『上海自然科学研究所要覧』および『上海自然科学研究所十周年紀念誌』、また、研究論文が載っている『上海自然科学研究所彙報』、『Journal of the Shanghai Science Institute』、上海自然科学研究所の事務員が主に編集した『中国文化情報』を収集した。そのほかに重要な史料としては、外務省外交史料館所蔵史料の一部、ジョセフ・ニーダム手稿の一部も収集した。さらに、上海自然科学研究所所員のエッセイなどが載っている『自然』の収集を進めたい。 上記史料に基づいて、プロソポグラフィー的分析の基本となる上海自然科学研究所研究者・職員の変遷リスト、研究者の業績リストの作成、研究者の入所前・退所後の履歴の調査などを進めている。 研究内容の分析については、速水頌一郎、東中秀雄による日食観測、測地学的研究、長江の流体力学的研究などの地球物理学研究や、岡田家武、合田史郎による希土類元素間の地球化学的分配率の研究に関して、予備的に検討した。中国における厳しい政治的状況のなかで、彼らは出身大学の人的資源や、中国人協力者を活用して研究を進めたことを明らかにした。その成果は今年半ばまでにはまとめる予定である。今年度は同時代の中国、世界の研究との関連を調査すると共に、他学科の研究についても網羅的な分析をおこないたい。
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