2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18500769
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
奈良 貴史 International University of Health and Welfare, 保健医療学部, 准教授 (30271894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 敏彦 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (70261518)
米田 穣 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 准教授 (30280712)
澤田 純明 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (10374943)
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Keywords | 人類学 / 先史学 / 考古学 / 古栄養学 / 古組織学 / 古病理学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、幼小児出土人骨の死因を特定する手がかりになる情報をできる限り入手して、幼くして死ななければならなかった背景の復元に努めるものである。6つの分野-(1)古人口学的検討、(2)形態学的検討、(3)古病理学的検討、(4)古組織学的検討、(5)古栄養学的検討、(6)考古学的検討-の研究成果を統合することによって、具体的な病名までの特定に至らないまでにしても、所属する集団の幼小児の死亡率、死亡時の発育状況や栄養状況、どの程度の階層に属する個体なのかを明らかにすることで、栄養状態が悪い状況下での死なのか、または飢饉などの周期的なストレスを受けての死なのか、あるいは順調に発育していたうえでの突発的な流行り病での死なのかを検討することによって、死に至った背景を明らかにし、人類史の一側面の解明を目指す。これまでの研究で、採集狩猟民と考えられる縄文時代と農耕民であるそれ以降の集団では、乳幼児の死亡ピークが異なることが指摘できた。この要因の解明には、二つの異なる生業形態の社会で離乳期、エナメル質減形成の出現時期、ならびに幼児人骨の咬耗の程度の違いを明らかにすることが必要と思われるたので、これらにテーマを重点的に研究を進めた。これらの研究成果を2008年10月に開催された第62回日本人類学会大会の骨考古学分科会において「幼児の生と死」と題してシンポジウムを企画し発表した。さらにシンポジウムの内容を広く一般に公表するように出版準備中である。
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