2007 Fiscal Year Annual Research Report
幕末明治初年における我が国の写真技法の復元再生に関する研究
Project/Area Number |
18500771
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
高橋 則英 Nihon University, 芸術学部, 教授 (10188039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 寛夫 九州産業大学, 芸術学部, 教授 (40104864)
姫野 順一 長崎大学, 環境科学部, 教授 (00117227)
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Keywords | 写真史 / 湿板写真 / 写真技法 / 製作技法 |
Research Abstract |
○初期写真術の再生:昨年度に継続し、我が国では最初の実用的写真術であった湿板写真と鶏卵紙について実験を行った。上野彦馬の『舎密局必携』による湿板写真処方と、柳河春三の『写真鏡図説』の処方などを比較するとともに、両者の処方や手順などに基づいた湿板写真による撮影を行った後、そのネガから印画を作成する実験を継続した。印画の製作には『舎密局必携』による塩化銀紙、鶏卵紙は『写真鏡図説』の処方にて行ない、異なる処方による画像の差異の検証に務めた。さらに我が国では研究実験の段階に留まったダゲレオタイプ(銀板写真)について、川本幸民の『遠西奇器述』に基づき実験を行った。 ○初期写真資料調査:海外資料調査として、フランス文化省の建造物文化遺産保存局写真アーカイブにおいて湿板写真ネガ画像の調査を行った。さらにアメリカではスミソニアン協会アメリカ歴史博物館に所蔵される湿板写真撮影用携帯暗室の調査も行った。これは本研究の中で復元を進めている上野彦馬所用の携帯暗室と同形式のもので、日本における初期写真機材の系譜を考えるうえで貴重な調査となった。国内の調査としては、熊本の冨重写真所の湿板写真原版、湿板用銀浴容器などの機材の調査を継続した。また山口県萩博物館にて、萩藩士で幕末の海軍伝習生であった中島治平関係の資料調査を行った。とくに現存する最古の湿板写真技術書(草稿)といわれる「ホトガラヒーノ説」の全頁を調査するとともに、新たにその草案と考えられる文書を発見することができた。 ○初期写真機材復元:前年度より継続中の、上野彦馬所用の湿板写真撮影用携帯暗室の復元について、各部金具の詳細復元品の製作を進め、本体に取り付けて最終的に完成させる作業を行っている。
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Research Products
(3 results)