2007 Fiscal Year Annual Research Report
効率的な防災施策提言のための地震動予測地図と文化財データベースの融合手法の構築
Project/Area Number |
18500773
|
Research Institution | National Research Institute for Cultural Properties, Tokyo |
Principal Investigator |
二神 葉子 National Research Institute for Cultural Properties, Tokyo, 文化遺産国際協力センター, 主任研究員 (10321556)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
隈元 崇 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (60285096)
|
Keywords | 文化財 / 防災 / GIS / 地震危険度 / 国際比較 |
Research Abstract |
1.重要文化財美術工芸品空間情報データベースの構築昨年度にごく一部の所在地情報しか登録できなかった重要文化財美術工芸品9,817件について、「国宝・重要文化財大全」の情報を用いて住所および所在市町村の緯度経度をデータベースに登録した。当該書籍には個人蔵の文化財についても所在地が明記されているため、この作業により現時点での国宝・重要文化財に関する空間情報データベースが完成した。 2.アメリカの美術館の地震対策に関する事例調査アメリカの西海岸地域は日本と同様に大規模な地震災害が発生する。サンフランシスコ市では、耐震レトロフィットとよばれる地震対策により、歴史的建造物の保護と活用が行われている。2008年3月15日〜20日に、サンフランシスコ市のデ・ヤング美術館、アジア美術館で、耐震レトロフィットや展示室内での展示品の地震対策について調査を行うとともに、関連の資料を収集した。この2つの美術館は近年まで同一の建物の両翼に分かれて所在していた。デ・ヤング美術館はゴールデンゲートパークに新たに建造された建物、アジア美術館は市内中心部の旧図書館を改修した建物に移転するという対照的な対応をとっている。両者とも、ダンパーによる建物全体の免震を行っているものの、収蔵品のうち、陶磁器などは転倒防止対策がなされていたが、特にデ・ヤング美術館収蔵の絵画では、吊り金具などについて日本と比べ目立った対策が観察できなかった。今後、免震の博物館・美術館での個別の作品への地震対策の必要性について検討が必要である。 3.災害時における成果の活用これまでに作成したデータベースを用いて、能登半島地震および新潟県中越沖地震の各地の震度と文化財空間情報データベースとの連携により、被災の可能性のある文化財を抽出したところ、実際の被害状況とほぼ一致していることがわかった。
|