Research Abstract |
地域学習のための教材を開発するために,野外学習の対象として適切な事象に関する研究,およびそのような事象と重ね合わせるための空中写真地図の開発を行った.野外学習の対象としては,小中学生でも容易に識別できるものとして,自動販売機,公衆電話,郵便ポスト,路傍祠をとりあげ,大阪府大阪市天王寺区および柏原市においてそれらの分布図を作成するために野外調査を行った.その結果,天王寺区においては,自動販売機,公衆電話,郵便ポスト,路傍祠が,それぞれ1374,142,69,39箇所あり,柏原市には,それぞれ919,64,80,60箇所あることがあきらかになった.自動販売機は,商業・業務地区に集中するという分布の特徴がみられ,また,郵便ポストは,ほぼ均等に分布すること,公衆電話はそれらの中間的な分布の特徴を示した.このような分布の特徴は,これらの事象を野外で調査し現在の土地利用図と重ね合わせることによって,土地利用とそれに関する事象の理解を深めるのに適切な教材になり得ることを示唆する.一方,路傍祠の分布は,1908年の地形図に示された集落の分布とおおむね一致することが分かった.このような分布の特徴は,路傍祠を野外で調査し過去の土地利用図と重ね合わせることによって,土地利用の変遷とそれに関する事象の理解を深めるのに適切な教材になり得ることを示唆する. 空中写真地図については,1950年頃および2000年頃に撮影された大阪府全域の空中写真画像データを購入し,オルソ補正を行った.そして,鉄道や駅,学校のデータと重ね合わせた地図を作成し,インターネットGISで公開を開始した.
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