Research Abstract |
地域学習のための教材を開発するために,2006〜2007年度に行った野外調査結果の詳細な分析と大阪教育大学附属平野中学校における授業実践を行った.また,地域学習のための基礎的な教材となる2000年頃および1948年頃の空中写真を大阪府全域についてインターネットで公開した。野外調査結果の分析では,大阪府の大阪市天王寺区,平野区,柏原市における自動販売機と路傍祠(地蔵堂など)の分布に関する調査結果を基に,それらを対象とした野外学習を行った場合の学習効果と適用可能な地域に関する分析を行った。その結果,飲料自動販売機は,主に商業・業務用地に分布し,商業・業務用地の割合が5%程度の校区では1km2あたり数十台の飲料自動販売機があり,商業・業務用と住宅地とがはっきりと分かれている校区では,飲料自動販売機の分布図を作成すると,容易に分布の集中地域を読み取ることができることがあきらかになった.一方,路傍祠については,主に戦前(1948年以前)に市街地であったところに路傍祠は分布し,1908年に0.05km2以上の市街地があったところでは,複数の路傍祠がみられ,比較的規模が大きい(0.05km2以上)昔の市街地があるところでは,校区の境界にとらわれずに,昔の市街地とその周辺地域で分布図を作成すると,路傍祠の分布と昔の土地利用との関係を理解しやすいことがあきらかになった.授業実践では,大阪教育大学附属平野中学校において,交通量と交通事故を対象とした地域学習を行った.交通量と交通事故との間には,明瞭な分布の一致がみられ,生徒が容易に読み取れること,また,道路の構造と交通事故との間には明瞭な関係がみられなかったり,因果関係が見出しにくい場合があることがあきらかになった.
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