2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18500780
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
黒木 貴一 Fukuoka University of Education, 教育学部, 教授 (40325436)
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Keywords | 衛星データ / 斜面崩壊 / GIS / ALOS / パンシャープン / 地形区分 / 最尤法分類 / 土層 |
Research Abstract |
斜面地形に対する衛星データの特徴と適性を考慮し、衛星データや写真データの解析手法と地質・地形調査手法とをGISを鍵に統合化し、昭和57年長崎豪雨による災害地の約25年問の環境変化に対する総合的調査を行った。 1)災害地の現地観察から時間経過による景観変化を把握した。その過程で、斜面崩壊地は雑木林、竹林、草地やコンクリート擁壁に変化し、土石流地は山地部では雑木林に、低地部では宅地や耕地に変化したことを整理した。また2)衛星データが災害地のそれら景観変化の長期モニタリングに有効なことを示した。3)ALOSのパンシャープン画像を用いる地形区分方法の限界と効果を確認した。その過程で、ALOSのパンシャープン画像は、急傾斜領域、狭い領域の地形、微妙な傾斜変換線の識別に難はあるものの、頂稜、谷頭斜面、谷頭凹地、上部谷壁斜面などの斜面地形区分が可能なことを示した。4)斜面崩壊地に対する衛星画像や空中写真による自動分類効率の確認を行った。その過程で、約25年後の被災地はALOSのAVNIR-2とPRISMデータによるパンシャープン画像で僅かに識別でき、その範囲の分類効率は2.5m解像度でALOSのAVNIR-2とPRISMデータを5バンド化したデータが最も高いことを示した。 5)事例とした斜面崩壊地の土層・植生調査を行った。その結果、斜面崩壊地では樹木の尾根側で土層蓄積が進んだこと、崩壊前の土層厚回復には約265年を要すると予測されることを明らかにした。 これらの検討を通じて、解像度の高い衛星データはGISによる他の地理情報との統合化を通じて、斜面に関する植生、地形、斜面災害の各研究に十分使用できることが示され、その内容を報告書としてまとめた。
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