2006 Fiscal Year Annual Research Report
海岸沖積低地形成における堆積プロセスと完新世後期の気候変動の関係
Project/Area Number |
18500784
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Dohto University |
Principal Investigator |
鈴木 正章 道都大学, 共通教育部, 教授 (30226550)
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Keywords | テフラ / AMS14C年代測定 / 完新世 / 海岸沖積平野 / 埋没浅谷 / 小氷期 / 浜堤砂礫 / 北海道 |
Research Abstract |
本報告では、白老平野の海岸沖積低地が縄文海進の最高海水準期以降、現海水準に至る過程でどのように形成されてきたのか、またその形成過程に気候変動がどのように影響を及ぼしたのかを検討する目的で、 1 合計7箇所の砂利採取場における連続露頭観察などを始めとする現地調査による地質・地形データの収集 2 1で行ってきた現地調査による地質・地形データの収集を補強する目的で実施したボーリング調査 3 得られた試料についてAMS14C年代測定、テフラ分析、花粉及び珪藻分析、植物珪酸体分析などを行ってきた。 これまでに明らかになったことをまとめると以下の通りである。 (1)白老平野における完新世後期のテフラ群について、テフラ層序及び層相、重鉱物組成、火山ガラスの形態的特徴、火山ガラス及び班晶鉱物の屈折率や火山ガラスの主成分元素存在量などの特性に基づいて樽前a(Ta-a:西暦1739年)、駒ケ岳c2(Ko-c2:西暦1694年)、樽前b(Ta-b:西暦1667年)、有珠b(Us-b:西暦1663年)、苫小牧白頭山(B-Tm:10世紀)、樽前c(Ta-c:2.5〜3.0ka)などに対比され低地の形成過程を検討する上で重要な時間軸となった。 (2)海岸沖積低地における埋没浜堤砂礫を基盤にしての埋積過程で5期(2.5-2.8ka,2.5-2.0ka,1.2-1.0ka,1.0ka 0.6-0.3ka)の埋没浅谷の形成期が認められた。さらに、それらの谷は、上流から運搬されてきた粗粒堆積物で充填されている。この上流からの粗粒物質の供給は背後にある樽前山の火山活動に起因するものと考えられる。また、0.6-0.3kaのイベントは,小氷期初期の年代的にほぼ一致する。
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