2008 Fiscal Year Annual Research Report
海岸沖積低地形成における堆積プロセスと完新世後期の気候変動の関係
Project/Area Number |
18500784
|
Research Institution | Dohto University |
Principal Investigator |
鈴木 正章 Dohto University, 共通教育部, 教授 (30226550)
|
Keywords | テフラ / 完新世後期 / 樽前山 / 駒ヶ岳 / 有珠山 / 小氷期 / 海岸沖積平野 / 北海道 |
Research Abstract |
白老〜勇払海岸沖積低地おいて縄文海進最盛期以降に形成された砂堤列を覆っている完新世後期テフラ群は層序、層相、火山ガラスや斜方輝石などの屈折率、火山ガラスの形態的特徴、斑晶鉱物の組成や一部火山ガラスの化学組成などの諸特性などに基づいて、現段階で少なくとも樽前c2(Ta-c2:Ca2.5ka)、白頭山苫小牧(B-Tm:10世紀)、駒ヶ岳d(Ko-d:AD1640年)、有珠b軽石(Us-b:AD1663年)、有珠b火山灰(Us1663:AD1663年)、樽前b(Ta-b:AD1667年)、駒ヶ岳c2(Ko-c2:AD1694年)、樽前a(Ta-a:AD1739年)、樽前IIIaO(Ta-IIIaO:AD1874)などの合計9枚のテフラの認定することができた。これらのテフラの対比により(1)本低地は,Ko-dの降灰以降活動が活発化した渡島駒ヶ岳、有珠山および樽前山を起源として頻繁に降灰したテフラが過去370年間で層厚約1.2mに達したことが白老平野の東端(苫小牧市錦岡)に出現した砂利穴の露頭において認められ、(2)(1)から正17世紀後半以降本低地は降灰や火砕流などの火山災害に数年〜数十年間隔でさらされ極めて荒廃した環境下にあった。(3)特に平成18年度苫小牧市樽前で実施したボーリング調査で得られたコア試料の花粉分析と併せて検討するとこの時期に荒廃した土地に先駆的な植生としてカバノキ属の急増がみられる一方、寒冷な気候を示すと考えられるトウヒ属も出現することから、火山活動による土地の荒廃のなかで地球的規模の気候変動として小氷期を反映すると考えられる植生変化が認められたことなどが明らかになった。
|