2008 Fiscal Year Annual Research Report
太平洋西部熱帯域における気候環境の5年周期変動に関する研究
Project/Area Number |
18500788
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
菅野 洋光 National Agricultural Research Organization, 東北農業研究センター・やませ気象変動研究チーム, チーム長 (30355276)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
アルディアンシャー プリマ・オキ・デイッキ 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 講師 (20344624)
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Keywords | 気候変動 / 農作物収量変動 / インドネシア / 5年周期 / 北日本 / 降水量観測 / 冷害 / ジャワ島 |
Research Abstract |
本研究では、北日本における夏季天候の5年周期変動の原因について、ロスビー波源およびその影響範囲内の東南アジア熱帯域に焦点を当てて明らかにすることを目的とする。20年度に得られた研究成果は以下の通りである。 1.インドネシア現地調査を行ない、18年度に設置した雨量計のデータ回収を行なった。雨量データは時別で取得しているため、14時〜21時に降水量が多く、特に17時〜18時のピークが明瞭である点が明らかになった。また、44.7kmしか離れていない2観測点で降水量が2倍異なる事例も得られた。これらの明瞭な時間・地形依存性は、今後の気象データを用いた農作物収量変動の解析に必要な、重要な知見である。 2.全球格子点気象データを用い、ジャワ島における平均雨量の年々変動と全球気象要素との関係をみたところ、ジャワ島夏季降水量と北日本夏季気圧との間に明瞭な負の相関関係がみられた。また、北日本夏季気温と、それに先行する春季のインド洋〜インドネシア周辺海域における気圧場との間に負の相関関係が認められた。これにより、北日本の5年周期変動の原因が、先行する春のモンスーン循環と関係することが示唆され、またテレコネクションにより北日本夏季天候の変動がインドネシアとの気候環境変動と連動していることが示唆された。 3.インドネシアにおけるコメの県単位での収量データを用い、その変動をみたところ、Maluku県において周期的な変動がみられ、格子点気象データの可降水量とよく一致していた。また、衛星リモートセンシングデータを用いた解析では、農業地帯の植生指数に5年の周期変動が認められた。可降水量データセットは全球のものが入手可能であり、Maluku県での気象・農作物収量の関係が定式化できれば、テレコネクションにより連動するグローバル農作物収量変動予測が可能になり、将来のアジアの食料変動予測に寄与すると期待される。
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Research Products
(8 results)