2006 Fiscal Year Annual Research Report
実験林への窒素沈着の空間変動の解明と湿性および乾性沈着量の評価
Project/Area Number |
18510006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
原 宏 東京農工大学, 農学部, 教授 (60106226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡崎 正規 東京農工大学, 大学院共生科学技術研究院, 教授 (00092479)
林 健太郎 (独)農業環境技術研究所, 主任研究官 (70370294)
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Keywords | 酸性雨 / 大気環境化学 / 湿性沈着 / 乾性沈着 / 窒素化合物 |
Research Abstract |
本学の野外実験試験地(FM多摩丘陵)において大気からの窒素化合物の湿性沈着、乾性沈着を評価するために降水試料の捕集、パシブサンプラーシステムの設置と運転、降水量の空間変動の測定を開始した。 湿性沈着はコナラ林とスギ林のそれぞれで林内雨と林外雨を測定しNH_<4^+>とNO_<3^->イオンの年間沈着量を算出した。林外雨よる沈着量はNH_<4^+>; 1.1 mol ha^<-1>y^<-1>,NO_<3^->; 0.9 mol ha^<-1>y^<-1>であった。林内雨はスギ林でNH_<4^+>; 1.4 mol ha^<-1>y^<-1>,NO_<3^->; 1.6 mol ha^<-1>y^<-1>で、コナラ林での値はNH_<4^+>; 0.7 mol ha^<-1>y^<-1>,NO_<3^->; 0.8 mol ha^<-1>y^<-1>といずれのイオンも沈着量が2倍大きかった。 乾性沈着関係の測定は森林内に12mの観測タワーの設置を進めているが、安全性をいっそう確実なものにするための改良中である。また、森林内でのパシブサンプラーによるアンモニアや窒素酸化物の予備的な測定を開始した。いずれも2週間程度の大気暴露で定量できる見込みを得た。 風速、風向、日射量、降水強度等の気象要素の測定システムを当該観測タワーで行う予定である。降水量の空間分布は2つのシステムで測定を開始した。一つは直径15cmのプラスチック容器を平坦な露場の中心部の5m四方に9個設置しひと雨ごとに降水量を測定するものである。もうひとつは直径25cmの標準型雨量計を5台、十文字型に設置し降水量0.2mmごとに測定するものである。いずれも降水量は測器により変動するが変動係数は0.1%程度であることが分った。さらに測定を継続しその変動の程度を風速、降水強度、降水量等により解析し、降水測定における一般的な変動係数とその影響要因を明らかにする。初年度はFM多摩丘陵に初めて本格的な測器を展開し、また観測タワーを新たに設置することができた。作業の安全性を含め、データの信頼性を詳細に検討し、十分信頼性のある測定システムであると認めることができた。現在、化学的な測定項目を増やした観測に入っており、来年度には当初の目的が達成できる見通しである。
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