2007 Fiscal Year Annual Research Report
放射性核種を利用した環境変動解析:湖底堆積物中のウラン・トリウム同位体
Project/Area Number |
18510008
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山本 政儀 Kanazawa University, 環日本海域環境研究センター, 教授 (10121295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏谷 健二 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 教授 (30161029)
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Keywords | 気候変動 / 環境変動 / 湖底堆積物 / モンゴル・フブスグル湖 / ウラン同位体 / トリウム同位体 / 堆積年代測定 / ロシア・バイカル湖 |
Research Abstract |
ユーラシア大陸に位置するロシア、バイカル湖,モンゴル、フブスグル湖の長い堆積物コアーから読み取れる種々の指標は,過去から現在に至る環境変化を理解する有用な情報を提供する。本研究は,化学情報,特に化学化石の1つである地殻物質,天然放射性元素ウラン(U)、トリウム(Th)に着目し,それらの同位体測定を通じて,これら元素の堆積挙動,堆積年代への応用,さらに古環境解析に役立てることを目的とした。今年度は,主としてモンゴル、フブスグル湖の堆積物について気候変動との関連を検討しバイカル湖での結果と相互比較を試み,以下の成果を得た。 1)フブスグル湖の最深部付近で掘削(2004年)した長さ81mコアーについて,表層から3cm毎に切断した試料のうち,約350試料についてU,Th同位体を測定した。^<238>U濃度(河川から流入する岩石、土壌由来Uを差し引いた残りのU成分:自生成U)深度分布パターンは,見掛け上酸素同位体ステージの変動とよく似たパターンを示した。この傾向は,バイカル湖の堆積物においても見出しており,温かい、湿潤期(自生成Uが多い)と寒冷、乾燥期(自生成Uが極めて少ない)指標になりうることを明らかにした。^<232>Thは,河川から流入する岩石、土壌の指標として有用である。 2)幾つかの深度での堆積物の年代を^<234>U/^<238>U-^<230>T/^<238>U比を用いるアイソクロン法で決定した。 3)自生成U濃度変動と気候変動との関連については,間氷期の温かい、湿潤期には湖内有機物生産量の増加,湖水への河川水による溶存Uおよび化学的風化を受けた土壌物質の供給量増加に,一方氷期は上記要因の減少によると考えられた。
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Research Products
(4 results)