2006 Fiscal Year Annual Research Report
土壌有機炭素の長期動態の解明と温度上昇が滞留時間に及ぼす影響
Project/Area Number |
18510010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渡邉 彰 名古屋大学, 大学院生命農学研究科, 助教授 (50231098)
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Keywords | 土壌有機炭素 / 腐植酸 / 腐植物質 / ^<14>C年代 / 滞留時間 / ^<13>C NMR / 地球温暖化 / 炭素隔離 |
Research Abstract |
1.土壌有機炭素の構造と生成後年数との関係 土壌有機物の化学構造と安定性(滞留時間)との関係を明らかにすることを目的として、土壌中に混在する腐植化各過程にある腐植物質を、黒色度を基準として分画し,得られた細画分の^<14>C年代を測定した。土壌は我が国で最も占有面積の大きい褐色森林士を対象とし、名古屋大学附属演習林より採取したA_3層試料を用いた。重液を用いて植物残さを除去した後、NAGOYA法にしたがって土壌有機物を抽出・分画し、腐植酸を得た。ざらに腐植酸をアセトン-0.01MNaOH系による沈殿法を用いて8画分に細分画し、収量、黒色度、^<13>C CPMAS NMR、^<14>C年代を測定した。また、ルテニウム酸酸化分解で得られたベンゼンカルボン酸の分析に基づき、縮合環組成の推定を行った。腐植酸画分は黒色度と対応した14C年氏を示し、無色度が高いほど古く、最大で2800年の差を示した。また、生成後年数の長いすなわち土壌中でより安定な画分ほど芳香族C含有率が高いこと、かつ芳香族Cに占める縮合環の割合が大きいことが明らかになった。 2.温度変化が土壌有機Cの滞留時間に及ぼす影響評価 温暖化の進行が構造特性、生成後年数の異なる有機炭素の滞留時間に及ぼす影響を明らかにすることを目的として土壌を異なる温度で培養し、温度変化に伴う腐植物質の分解速度の変化と黒色度との関係を調べている。土壌には名古屋大学附属演習林表層土壌を用い、15〜40℃、7段階の温度で恒温培養した。現在、培養開始2ヶ月後の分析まで終了しており、短期間の培養では、高温において腐植酸量はむしろやや増大する一方、黒角度の低下することが認められており、温度上昇によつて土壌有機物の分解とともに、腐植物質の生成が促進されることが推察された。培養は継続中である。
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