2007 Fiscal Year Annual Research Report
土壌有機炭素の長期動態の解明と温度上昇が滞留時間に及ぼす影響
Project/Area Number |
18510010
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渡邉 彰 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (50231098)
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Keywords | 土壌有機炭素 / 腐植酸 / 腐植物質 / ?^14?C年代 / 滞留時間 / 地球温暖化 / 炭素隔離 |
Research Abstract |
1.土壌有機炭素の構造と生成後年数との関係 九州南部(宮崎)の褐色森林土A2層から抽出・精製したフミン酸を黒色度を基準として分画し、得られた細画分の^<14>C年代を測定することで、腐植化の進行に要する年数を推定した。宮崎土壌においてフミン酸のA_600/C値が1ポイント上昇するのにかかる年数は29.2年で、燕・湯船原の結果(29.6〜32.6年)と類似していたことから、気温の違いは腐植化の進行に影響しておらず、広域的な評価が可能であることが示唆された。フミン酸の平均分子サイズはより古いものほど大きくなる傾向を示した。また、酸加水分解前後に^<14>C年代を測定したところ、その差は黒色度に関わらず10〜30年と小さく、フミン酸中の糖鎖・ペプチド鎖が土壌中で長期的に安定化されていることが明らかになった。 2.温度変化が土壌有機Cの滞留時間に及ぼす影響評価 温暖化の進行が構造特性、生成後年数の異なる有機炭素の滞留時間に及ぼす影響を明らかにするないことを目的として、褐色森林土表層土を15〜40℃の7段階の温度で恒温培養した。土壌全炭素の分解速度は30℃以上で25℃以下よりも大きかったが、フミン酸量は高温下でより早く減少する傾向を示したものの1年後に異なる温度間に差は認められなかった。フミン酸の細分画においても、黒色度の低い画分が黒色度の高い画分よりも顕著に減少することはなく、温度が大きく変化しても1年では腐植物質の分解に有意な差をもたらさないと結論された。培養は継続中である。
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[Presentation] 土壌フミン酸の長期動態の解明2007
Author(s)
渡辺彰, 城倉未来, 今西健, 奈良岡浩, 池田晃子, 中村俊夫, 池谷康祐
Organizer
日本土壌肥料学会
Place of Presentation
東京農業大学
Year and Date
2007-08-22
Description
「研究成果報告書概要(和文)」より