2008 Fiscal Year Annual Research Report
中国沿岸部自由対流圏から浮遊してくる黄砂粒子の性状及び西日本に飛来するまでの変質
Project/Area Number |
18510015
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
張 代洲 Prefectural University of Kumamoto, 環境共生学部, 准教授 (90322726)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 実 熊本県立大学, 環境共生学部, 教授 (40131916)
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Keywords | 環境分析 / 大気環境 / アジア黄砂 |
Research Abstract |
観測の実施:(1)平成20年5月に中国泰山山頂において自由対流圏大気エアロゾル粒子を採集した。(2)平成20年11月-12月に中国北京市での係留気球観測に参加し地表付近混合層上層の大気エアロゾル粒子を採集した。(3)平成20年12月に熊本県天草半島で係留気球観測を行い、地表付近混合層上層の大気エアロゾル粒子を採集した。 サンプルの分析:電子顕微鏡を利用する個々のエアロゾル粒子の分析方法を用いて、観測で得られたサンプルの分析を行った。特に水透析を利用して、中国大陸自由対流圏に漂っていた人為的な浮遊粒子(主にスス粒子と鉱物粒子)及び黄砂粒子について分析を行った。また、熊本天草半島のサンプルも同様に分析を行っている。一部分のサンプルと得られたデータは現在分析と解析中である。 研究成果:(1)中国都市部において自由対流圏に漂っていた粒子が著しく変質したことが見出された。変質メカニズムは粒子(スス粒子も)表面の化学反応で硫酸塩と硝酸塩が大量に生成された。また、スス粒子などの水の吸収能力もこれらの物質により向上されたことと形状も大きく変わったことも確認された。(2)変質されたスス粒子らは時には上空の層の構造になり、地上付近の大気環境を深く関与していることが示唆された。(3)天草で実施された係留気球観測のデータについて、平成21年4月現在分析と解析中であるが、接地気層の内外においてはかなり異なる粒子分布を発見し、今後の調査では地上だけの観測では大陸浮遊してくるエアロゾル粒子の性状と環境影響を解明するには不充分であることが強く示唆された。これらの成果を元にして学術論文を取りまとめている中で、既に国内外の学会及び講演会で数回発表を行った。その他、共同研究で2編の論文が発表された。
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Research Products
(5 results)