2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18510016
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
千賀 康弘 Tokai University, 海洋学部, 教授 (10144437)
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Keywords | ピコ植物プランクトン / 色素 / 高速液体クロマトグラフ / ゼアキサンチン / ディビニール・クロロフィルa / シネココッカス / 原始緑藻 / 沿岸域 |
Research Abstract |
駿河湾奥部清水港内10点にて毎月1〜2回の頻度で2年間、採水調査を行い、植物プランクトン光合成色素を高速液体クロマトグラフィ(HPLC)分析した。この結果に対して、非線形多変量解析手法を測定時期毎に適用することにより、種組成の分布と各種が持つ色素組成比を同時に推定し、同一種内での色素組成の季節変動を見出した。この結果、ピコプランクトンの大部分を占める藍藻においては、同種が持つクロロフィルa量に対して、藍藻が増殖する夏季には指標色素であるZeaxanthinの含有比率が減少し、珪藻については、大型種が増殖すると指標色素であるFucoxanthinの含有比率が増大する特徴が明らかとなった。 また、浜名湖からの海水が入り込む佐鳴湖においては表層水中の色素組成の季節変化を観測し、夏季に微細藍藻Synechocuccusが急増することを観察した。同時に底泥中の色素組成の鉛直分布からは、藍藻の指標となるZeaxanthinが周期的に増大していることを確認した。これは夏季の水温が25℃を超え、藍藻の増殖を加速したためと考えられる。これら2地点での観測結果より、夏季の温度上昇に伴う藍藻の増殖が色素組成ではZeaxanthinの増加となって顕著に現れるが、藍藻自身のZeaxanthin含有率は減少していることから、細胞数は急激に増大することが示唆された。
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