2007 Fiscal Year Annual Research Report
森林土壌の窒素飽和化と亜酸化窒素発生に関わる微生物群集構造の解析
Project/Area Number |
18510018
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Research Institution | Toyama Prefectual University Junior College |
Principal Investigator |
川上 智規 Toyama Prefectual University Junior College, 教授 (10249146)
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Keywords | 窒素飽和 / 亜酸化窒素 / PCR-DGGE / Acidbactor sp. / Nitrosospira sp. / 微生物群集構造解析 / 富山市呉羽山 |
Research Abstract |
富山市の呉羽丘陵では、窒素飽和による土壌の酸性化や渓流水の酸性化が確認されるとともに、森林土壌の窒素飽和化に伴う新たな問題として、地球温暖化ガスとしての亜酸化窒素(N_20)の生成が促進されることが明らかとなっている。本研究は、窒素飽和化に関わる土壌中の微生物群集構造ならびに、N_2Oの発生に関わる微生物群集構造を解析することを目的とする。 土壌中の微生物群集構造を解析するために、PCR-DGGE法を用い、以下の手順によって微生物の種類を特定した。 (1)土壌中の微生物のDNA抽出。(2)PCR法による16S-rRNA遺伝子の増幅。(3)DGGE法による電気泳動を用いたDNAの分離と群集構造の解析。(4)分離したDNAを大腸菌に組み込むことにより増幅精製。(5)シーケンサーを用いてDNAの塩基配列を決定。(6)データベースBLASTを用いて既存の菌種との塩基配列の相同性の検索。 本研究では、窒素飽和となっている富山市呉羽山の土壌ならびに、窒素飽和ではない富山市三の熊の土壌を用い、微生物の群集構造をDGGE法により比較した。両土壌に顕著な違いが見られるDNAを解析した結果、呉羽山土壌からはAcidbactor sp.が検出され、土壌の酸性化を反映していた。 一方、硝化細菌にのみターゲットを絞り、PCR法による増幅とDGGE法による分離を試みた結果、呉羽山の土壌にのみ2本のバンドがゲル上に現れ、2種類の硝化細菌が生息していることを示していた。これらの塩基配列を調べた結果、いずれも、Nitrosospira sp.であることが判明した。
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