2007 Fiscal Year Annual Research Report
酸素安定同位体比測定による森林生態系における炭素循環の研究
Project/Area Number |
18510019
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
村山 昌平 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 環境管理技術研究部門, 主任研究員 (30222433)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 裕昭 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 研究グループ長 (60357051)
三枝 信子 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 主任研究員 (00251017)
森本 真司 国立極地研究所, 研究教育系, 助教 (30270424)
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Keywords | 酸素安定同位体比 / 炭素循環 / 大気-森林生態系交換 / 水循環 / 同位体分別 |
Research Abstract |
岐阜県高山市の産総研サイトにおいて、観測を継続して行い、データを蓄積した。大気中CO_2の酸素安定同位体比(δ^<18>O)は、CO_2濃度や炭素安定同位体比(δ^<13>C)と比べて複雑な目内変動を示したが、相対温度と負の相関が見られた。これは、乾燥時には蒸散による葉内水のδ^<18>Oの増加が顕著になり、その結果、光合成時のCO_2の^<18>Oの同位体分別が増大することに起因していることが示唆された。日中キャノピー上のCO_2のδ^<18>Oの季節変動は、冬季に低い値、春季に高い値を示したが、成長季は年々異なる変動を示した。この季節変動は、土壌水や葉内水の起源である降水のδ^<18>Oの季節変動と有意な正の相関を示した。また、成長季の変動については、相対湿度と負、日射量と正の有意な相関が見られ、その結果、夏季に梅雨が活発で湿潤であった年には初夏にδ^<18>Oは急減し、少雨で比較的乾燥した年には、初夏に最高値を示し、その後緩やかに減少した。北半球中緯度の他サイトとの比較により、後者のような季節変動は、北米・ヨーロッパの多くのサイトで見られたが、前者のような変動は、モンスーンアジア域の特徴であることが示唆された。得られた観測データや気象要素を解析し、過去の文献を参考にして、パラメータ化を行い、光合成および呼吸過程に対するCO_2の^<18>Oの同位体分別を集中観測期間中の目内変動および観測期間中の季節変動について推定した。フラックス観測から推定された光合成・呼吸量と上記で推定された同位体分別を組み合わせてCO_2の^<18>Oのフラックスを推定し、観測されたCO_2のδ^<18>Oの変動と比較したが、推定された^<18>Oのフラックスから観測値の変動1パターンを定性的に再現できず、光合成・呼吸量を精度良く分離推定するためには、森林内外の各層における素過程を再現する多層キャノピーモデルを用いた解析を行う必要があることが示唆された。
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Research Products
(5 results)