2008 Fiscal Year Annual Research Report
沿岸微地形の特徴からヨシ原の生態系機能を評価する試み
Project/Area Number |
18510026
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
矢部 徹 National Institute for Environmental Studies, 生物圏環境研究領域, 研究員 (50300851)
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Keywords | ヨシ原 / 沿岸微地形 / HGMアプローチ / 地下水位 / 栄養塩環境 |
Research Abstract |
(1)野外モニタリング:従来湖岸植生帯の分布ならびに植生帯に影響を及ぼす波浪の強さは地形形状に依存するとされている。本研究では湖岸の植生帯規模ならびに波浪の強さが地形により異なるとの仮説を立てており野外調査を通じて湖岸地形のスケールを変化させつつ、上記を検証している。波浪の指標としてHayesの有効吹送距離(Effective fetch,EF)および波あたりに改良を加えた指標(Modified Exposure Index,MEI)によって各調査地点の植生帯のサイズを評価した。湖岸地形は,0.25,0.5,1.0,2.0,4.0,6.0および8.0kmの異なる湖岸線の長さ、すなわち地理スケール(geomorphic scale)に応じて,(1)湾(bay)と(2)岬(headland)に分類した。その結果、湾と岬における植生帯規模の違いに加えて、MEI値についても99%の確率で有意に異なる地理スケールはやはり4km以上であり、この値こそが植生帯に対しての波浪の影響を小さくする(シェルター効果)地理スケールであると判断された。 (2)野外実験:地下水流向流速計を用いて、計測調査を実施している霞ヶ浦沿岸の3地点で地下水の挙動を計測した。地下水の流向流速測定は単孔式井戸を用いて行う原位置試験であり、今回の測定で使用する測定器は熱拡散を応用したアレック電子製「GFD3A」を用いた。現地作業については、湿地現場における初の計測となったため、測定器の設置方法、測定周辺の地下水の安定に要する時間、現場でのパソコン使用、と検討を重ね、1日1地点ずつの計測実施となった。各地点における陸側および湖側、その中間の3点を選び、深度はGL-20cm付近およびGL-75cm付近で計測した。その結果、湖側と陸側、あるいは、表層と下層、で全く異なる方向に地下水が流動している地点が複数見られた。その結果と底質粒度との関係について現在解析中である。
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Research Products
(7 results)