2007 Fiscal Year Annual Research Report
胎児期に受けたメチル水銀が神経系及び生理的老化に及ぼす後影響に関する研究
Project/Area Number |
18510029
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Research Institution | National Institute for Minamata Disease |
Principal Investigator |
坂本 峰至 National Institute for Minamata Disease, 疫学研究部, 部長 (60344420)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 勝敬 秋田大学, 医学部, 教授 (80157776)
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Keywords | メチル水銀 / 胎児影響 / 神経系 |
Research Abstract |
疫学調査によって,ADL調査では半数が入浴や移動における介護が必要でありという実態が明らかになり,胎児性水俣病患者の中には,急激な下肢の運動機能の悪化を示したものがあった.但し、これらの症状の急激な悪化を訴えたのは全調査22名中2名のみであり、全ての胎児性患者に共通して見られる減少ではなかった。上肢下肢の運動障害に加えて手足のしびれ等の成人性の水俣病患者の自覚症状を併せて持っていること,頭痛・肩こりの愁訴率の高いことが示唆された.メチル水銀は生物濃縮性が高く、主として魚介類の摂取を介して人体へ取り込まれ、中枢神経、特に胎児への影響が強く現れる。また、胎児は鉛(Pb)、ヒ素(As)、カドミウム(Cd)にも経胎盤的に曝露されている。一方、セレン(Se)はメチル水銀の毒性を軽減する作用があるのではないかと考えられている。そこで、これらの金属のメチル水銀による毒性出現リスクへ及ぼす相加的または保護的可能性を検討するために、これらの金属の胎盤透過性と母体や児の血液循環における相関について出生時の母体血、臍帯血の赤血球ベースで検討した。Cdを除く他の重金属は母児の相関が強く、児は母親の取り込みレベル(汚染)を強く反映することが示された。HgとSeは共に児に高く移行することが示された。特に、メチル水銀は、感受性の高い胎児に濃度的にも母親より高濃度に蓄積するので、次世代の脳を守る上で考慮しなければならない。Cdを除く他の児のPb(55%) As(60%)の母親に対する比からも分かるように、胎盤はある程度のバリアとしての役目は果たしているが思ったより十分ではないことが示唆された。動物実験では,発達期の脳機能に影響を与える有害化学物質とされているメチル水銀の引き起こす脳の発達期におけるメチル水銀の投与が引き起こす行動科学的障害に及ぼす環境エンリチの効果について検討を行った結果ラット新生児期にメチル水銀暴露ラットを離乳後にエンリッチな環境で飼育すると、全ての検査項目ではなかったが、メチル水銀投与で低下した水迷路空間認知能力とロータロッド筋強調運動が有意に改善されることが明らかになった。
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[Journal Article] Heavy metal contamination status of Japanese cranes(Grus japonensis) in east Hokkaido, Japan-extensive mercury pollution.2007
Author(s)
Teraoka H, Kumagai Y, Iwai H, Haraguchi K, Ohba T, Nakai K, Satoh H : Sakamoto M, Momose K, Masatomi H, Hiraga T
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Journal Title
Environ Toxicol Chem 26
Pages: 307-312
Peer Reviewed
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[Presentation] Exposure assessment of methylmercury in the Japanese pregnant women.2007
Author(s)
Satoh H, Shimada M, Ohba T, Kameo S, Suzuki K, Sakurai K, Kurokawa N, Murata K, Sakamoto M, Nakai K
Organizer
VIIIth International Society for trace Element Research in Humans Conference.
Place of Presentation
Crete, Greece.
Year and Date
20071000
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