2006 Fiscal Year Annual Research Report
温泉に生息するレジオネラに対する銀および銅イオンによる殺菌作用の検討
Project/Area Number |
18510035
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
加藤 尚之 東邦大学, 医学部, 助教授 (50104154)
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Keywords | 温泉環境学 / レジオネラ / 銀イオン / 殺菌作用 / アメーバ / 栄養体 / シスト体 / 循環装置 |
Research Abstract |
温泉の泉質が銀殺菌にどのように影響するか,塩化物イオン,硫酸イオン濃度がそれぞれ120mg/L,842mg/LのA温泉水,11.3mg/L,30.9mg/LのB温泉水および96.3mg/L,226mg/LのC温泉を用いて検討を行った.A温泉水,B温泉本とも0.15ppm,1.Oppmの銀濃度では共に遅延性ではあるが,強い殺菌力が示された.0.05ppmでは殺菌力は両温泉水で見られたが,塩化物イオン,硫酸イオン濃度が高いA温泉水で殺菌力がやや低下する傾向が示された。一方,C温泉では0.05ppm,0.15ppm,1.0ppmで全く効果が認められなかった.このことは,銀イオンが何らかの温泉成分と反応して錯イオンを形成しているためと推察した. アメーバ内のレジオネラおよびアメーバに対する銀殺菌の実験では,栄養体のアメーバに貧食されたレジオネラに対し,レジオネラ単独で殺菌力を示した銀イオン濃度0.05ppmでは,栄養体アメーバ内のレジオネラは殺菌されず,2.5ppmで殺菌力が示された.一方悪い環境状態での耐久型であるシスト体アメーバ内ではレジオネラは2.5ppmでも殺菌されず,5ppmで殺菌力が示された.またアメーバそのものに対しては5ppmでも全く死滅されなかった. これらの実験結果をもとに実際に大浴場および露天風呂それぞれの循環装置に銀イオン殺菌装置を取り付け,銀イオン殺菌の効果について調べた.装置が稼動する直前の浴槽水からはレジオネラが1mLあたり2.63x10^3CFU検出された.稼動後約2週間後の浴槽水から,1mLあたり3x10^5CFU検出された.このときの浴槽内の銀イオン濃度は0.006ppmであった.その後銀イオン濃度を調整し,0.03ppm前後に安定させた結果,レジオネラは検出されなくなった.
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