Research Abstract |
本研究は,X線医学検査による患者の被ばく線量を,多様なX線検査の各々について,先の科学研究費補助金により開発した成人並びに小児用人体ファントム臓器線量計測システムを使用して,成人と小児で別々に,且つ,がんを発症することが知られている臓器ごとに精密に測定・調査し,我が国におけるX線医学検査による医療被ばくの実態を総合的に解明することを目的としている。本年度は,主に以下の2点について,被ばく線量を測定・調査した。 1.X線CT検査における成人並びに小児患者の被ばく線量の測定・調査:成人並びに小児用臓器線量計測システムを名古屋大学医学部附属病院,愛知医科大学付属病院および名古屋第二赤十字病院に持ち込んで,診療に使われている種々のメーカーの種々の型式のCT装置(特に最新の64列CT装置),および装置ごとのルーチン撮影条件で,頭部,胸部(心臓を含む),腹部のCT検査における成人並びに小児患者の各組織・臓器の被ばく線量測定を行い,臓器線量,並びに実効線量データを取得した。また,最新の64列CT装置について撮影条件と実効線量との関係を求め,各メーカーのCT装置について,被ばく線量が最も少ない撮影条件を決定した。 2.X線一般(単純)撮影における小児患者の被ばく線量の測定・調査:小児用臓器線量計測システムを名古屋大学医学部附属病院,愛知医科大学付属病院および神奈川県立こども医療センターに持ち込んで,特に最新のディジタル型X線一般撮影装置(ポータブル装置を含む)を使用した頭部,胸部,腹部,骨盤・股関節検査,さらに頚椎,胸椎,腰椎を含む全脊柱検査における小児患者の各組織・臓器の被ばく線量を各施設のルーチン撮影条件で測定し,臓器線量,並びに実効線量データを取得した。これら各検査の小児に対する被ばく線量を既存の成人に対するそれと比較検討し,X線一般撮影における小児患者の被ばくの特徴を分析した。
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