2007 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質相互作用モチーフBRCTドメインのDNA損傷応答における役割
Project/Area Number |
18510045
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 純也 Kyoto University, 放射線生物研究センター, 助教 (30301302)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
槌田 謙 京都大学, 放射線生物研究センター, 研究員 (80397570)
林 幾江 広島大学, 歯学部, 助教 (00346503)
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Keywords | 放射線 / プロテオーム / 癌 / 核小体 / DNA損傷 |
Research Abstract |
生物の以前情報が収められているゲノムDNAは電離放射線や様々な環境ストレスでDNA損傷を受けている。いったんDNA損傷が細胞に発生すると、その損傷は即座に検知されるとともに細胞周期チェックポイント機構で細胞増殖をとめるとともに、損傷に適したDNA修復機構で損傷DNAを修復して、生物はゲノムDNAの安定性を維持している、このような一連のDNA損傷応答機構で近年BRCTドメインというタンパク質部分構造を持つタンパク質群が役割を果たすことが報告されてきたことから、本研究ではBRCTドメインをもつタンパク質と物理的相互作用するタンパク質をプロテオミクス解析で同定し、同定したタンパク質のDNA損傷応答における機能を明らかにすることを目的とした。平成19年度は、BRCT.ドメインと結合することを明らかにしたヒストンH2AXにさらに相互作用する因子をプロテオミクス法で、明らかとしその機能の解析を行った。 我々は大腸菌で合成したGST-H2AXを用いて、放射線照射後のヒトリンパ芽球細胞抽出液からpull-down法で、H2AXと結合しうる複合体を回収した。回収した複合体をSDS-PAGE電気泳動で分離後、トリプシン処理を経て、質量分析計解析で複合体構成因子を同定した。同定した因子の中には核小体タンパク質nucleolinが含まれていた。nucleolinはDNA損傷がない場合には核小体に局在するが、マイトマイシンC、カンプトテシンなど複製ストレスを引き起こすDNA損傷剤処理で核全体に分散した。nucleolinはヒストンH2AXだけでなく、DNA損傷依存的にNBS1,RPA34,Rad51に結合した。また、nucleolinをsiRNAでノックダウンすると、カンプトテシンに感受性に中程度の感受性を示した。NBS1,RPA34,Rad51は相同組換え修復に機能する因子であるが、Dr Jasinによって開発されたDR-GFP法を用いて検討すると、nucleolinノックダウン細胞ではHRの低下が見られたが、NBS1と相乗的な低下は見られなかった。また、ヒストンH2AXノックアウト細胞でも同様なHRの低下が見られた。このような結果から、nucleolinはH2AX,NBS1,RPA34,Rad51との相互作用を通して、DNA損傷応答、特に相同組換え修復に機能していることが考えられる。
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