2007 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子修復能力増強による紫外線耐性植物の作出と紫外線傷害修復における光回復の役割
Project/Area Number |
18510047
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
滝本 晃一 Yamaguchi University, 農学部, 教授 (00115875)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 健二 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90199729)
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Keywords | 紫外線感受性 / 高等植物 / シロイヌナズナ / DNA修復 / 光回復 / ピリミジン2量体 / オゾン層 / 遺伝子組み換え |
Research Abstract |
有害オゾンの排出は抑制されているが、オゾン層の修復はみられず、依然として極地のオゾンホールは存在し、大気圏オゾンの状態は1980年代のレベルには戻らないと予想される。従って、地上生物は高いレベルの紫外線環境下で生存することを余儀なくされる。 紫外線はピリミジン2量体とよばれるDNA傷害を生成したり活性酸素を発生して、DNA合成や遺伝子発現を阻害するとともに突然変異誘発の原因となる。太陽光下で生育する植物はこの脅威に曝されて続けている。ピリミジン2量体の修復系である光回復は、この活性が低いイネの生育が紫外線で抑制されることから、高等植物の紫外線防御系において重要な位置を占めていると推測される。光回復の能力増強で紫外線による植物の生育阻害の程度が軽減されるなら、これを食料資源の機能改善に寄与できる。 18年度の研究で試みた、ホウレンソウCPD光回復遺伝子を導入したシロイヌナズナ系統の確立をさらに進め、その紫外線感受性を調べた。シャーレに播種春化処理後発芽1週間程度の植物14h-light=10h-darkの光サイクル下で1日8時間UV-B照射を14日間行い生育抑制の程度を比較したところ、野生型に比べて10%程度生育抑制の軽減がみられた。光回復遺伝子の増幅による光回復酵素の過剰発現の結果、紫外線によるDNA修復が促進されたものと推測される。 光回復酵素は細胞質でつくられ、核移行シグナルによって核に運ばれDNAに作用すると考えられる。光回復遺伝子にGFPをつなぎ蛍光顕微鏡で観察したところ、核内で蛍光がみられ光回復遺伝子が移行したものと考えられた。光回復遺伝子のsilencingによる紫外線感受性の増加を検討しているところである。
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