2008 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子修復能力増強による紫外線耐性植物の作出と紫外線傷害修復における光回復の役割
Project/Area Number |
18510047
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
滝本 晃一 Yamaguchi University, 農学部, 教授 (00115875)
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Keywords | 植物 / シロイヌナズナ / 紫外線 / DNA修復 / 光回復 / 突然変異 / フレームシフト |
Research Abstract |
大気圏オゾンの修復はみられず、今後かなりの期間にわたってオゾン層の状態は1980年代以前の状態には戻らないと予想される。生物は長期間に渡って高いレベルの太陽紫外線環境下での生存を余儀なくされる。 紫外線特有のDNA傷害であるピリミジン2量体は、生物に有害な影響を及ぼす。太陽光を光合成に用いている植物はこの脅威に曝され続けている。可視光線によるピリミジン2量体の修復系である光回復が植物にとって重要であることは欠損株を用いた研究から推測された。そこで、植物におけCPDと(6-4)光産物の光回復の意義を、遺伝子の増幅と抑制により検討した。また、植物の環境応答の特性を知る目的で、X線及び紫外線誘発突然変異を調べた。加えて、研究の合理化迅速化をはかるため、シロイヌナズナ培養細胞系の本研究への導入を試みた。 CPD光回復遺伝子の導入によりコピー数を増やしたシロイヌナズナでは、UV-B照射後の光回復効果の増加が認められ、19年度の結果を確認した。RNAi法によりCPD光回復遺伝子をサイレンシングした植物体ではUV-B感受性が著しく増加し、対照区著しい生育抑制がみられなかったUV線量でも枯れてしまった。光回復の効果を定量的に評価するために、CPD光回復遺伝子をサイレンシングしたシロイヌナズナ培養細胞の紫外線(UV-B)感受性を生存率で調べた。野生型で生存率の減少が見られない及び80%程度の線量において、サイレンシング株ではそれぞれ80%及び30%であった。また、(6-4)光産物修復光回復遺伝子を増幅した場合にも若干のUV-B耐性増強の傾向がみられた。植物にとって光回復は重要な紫外線防御機構の一つである。 シロイヌナズナ培養細胞の紫外線誘発変異を調べた。紫外線特有のGC→AT塩基置換の他に、フレームシフト有意に見いだされ、他生物の変異スペクトルと違いが見られた。DNA polymeraseなど酵素の特性かもしれない。
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Research Products
(4 results)