2007 Fiscal Year Annual Research Report
電離放射線により誘発されるエピジェネティックな細胞内変化に関する研究
Project/Area Number |
18510052
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
山内 正剛 National Institute of Radiological Sciences, 放射線防護研究センター, チームリーダー (00260240)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福津 久美子 放射線防護研究センター, 主任研究員 (10238496)
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Keywords | 放射線 / エピジェネティック / 遺伝子発現制御 / 突然変異 / 培養細胞 / マウスFM3A細胞 / Hprt遺伝子 / 6-チオグアニン耐性変異 |
Research Abstract |
平成19年度は前年度に続いて、マウスFM3A細胞の6TG耐性変異株よりHAT耐性復帰変異株の追加的な分離と、両者変異株のHprt遺伝子上流領域のメチル化解析を実施した。 まず、Hprt遺伝子領域にLOHがみられなかった6TG耐性変異株からの追加的なHAT耐性復帰変異株の分離についてであるが、前年度には分離できなかった自然発生変異株を分離することに成功した。このことにより、これまでに分離できたエピジェネティックな変異株は、非照射群2株、2グレイ照射群3株、5グレイ照射群から5株となった。平成18年度に非照射群からHAT耐性復帰変異株を得られなかった理由については不明である。いずれの6TG耐性株についても、HAT耐性に復帰する頻度は約10^<-3>であり、通常の突然変異の発生頻度よりも100倍以上高かった。 これら合計10株のHAT耐性株より6TG耐性株が出現する頻度は、いずれも10^<-4>であり、6TG耐性からHAT耐性を生じる頻度よりも10倍程度高かった。いずれの形質転換も塩基置換などの通常のDNA突然変異の発生頻度として期待される頻度よりも100倍前後高い頻度で発生することが判明した。これら10株について、ゲノムDNAを抽出精製し、Hprt遺伝子上流領域の約500塩基対について、バイサルファイト法によりメチル化パターンの変化を調べ、平成19年度においても追試を実施したが、これまでのところ有意なメチル化パターンの変化は検出されていない。本結果は過去の文献的な情報と相容れない。以上の結果は投稿準備中である。 5-アザシチジンがこれら5株における変異発生頻度に及ぼす影響については、再現性のある結果は得られなかったため、本実験系ではHprt遺伝子活性オンオフにおけるメチル化の役割はあまり大きくない可能性が示唆された。 アルファ線による同様の変異誘発実験については、当所の施設的な事情により実施できなかった。
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