2008 Fiscal Year Annual Research Report
電離放射線により誘発されるエピジェネティックな細胞内変化に関する研究
Project/Area Number |
18510052
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
山内 正剛 National Institute of Radiological Sciences, 放射線防護研究センター, チームリーダー (00260240)
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Keywords | 放射線 / エピジェネティクス |
Research Abstract |
放医研中期計画では、実験用マウスC57BLのAprt+/-系統と野生型C3H系統を交配して得らわたB6C3F1のAprt+/-マウスに、生後1週目または7週目で1Gyまたは7GyのX線照射し、照射後8週目で解剖して摘出した腎臓より調整した初代培養細胞を用いて、放射線被ばくが突然変異の発生に及ぼす影響を解析している。平成20年度は本実験系を流用して、マウスFM3A細胞より相当に実際に近い状況を反映していると思われる初代培養細胞においても同様の現象が発生するか検討した。出発材料として、上記実験系において分離された2,6-diaminopurine(DAP)耐性変異株のうち、PCR法によるLOH解析においてAprt遺伝子座における欠失変異が検出されなかった53株を用いた。DAP耐性変異株はAprt活性の欠失により獲得される形質である。DAP耐性株をAprt活性の復帰変異を選択する薬剤であるアザセリン存在下で培養したところ、約半分の26株からアザセリン存在下でも生育できる復帰変異株を分離することに成功した。初代培養細胞のプレート効率は低いため、その復帰変異頻度を正確に測定することは困難であるが、100分の1前後のDAP耐性株がアザセリン耐性株に復帰したと見積もられる。さらに、一部のアザセリン耐性株はDAP耐性株へと移行したが、その頻度は1000分の1前後に低下した。表現形質移行頻度の低下は、細胞の形態から、老化のためと思われた。初代培養細胞において遺伝子のオンオフを試験管内で再現できる実験系を構築できた意義は大きい。
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