2006 Fiscal Year Annual Research Report
イトヨの優良バイオマーカーを利用した内分泌攪乱作用評価系の構築
Project/Area Number |
18510060
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
長江 真樹 長崎大学, 環境科学部, 助教授 (00315227)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 彰彦 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 教授 (40091483)
征矢野 清 長崎大学, 環東シナ海海洋環境資源研究センター, 助教授 (80260735)
浦 和寛 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 助手 (90360940)
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Keywords | バイオマーカー / 環境ホルモン / イトヨ |
Research Abstract |
トゲウオ科魚類の仲間であるイトヨが繁殖期に営巣することは広く知られており、その際,雄がアンドロゲンの刺激により営巣のための接着タンパク「スピギン」を腎臓で特異的に産生することが近年明らかとなった。通常はスピギンを合成しない雌においても、外因性アンドロゲンにより極めて容易に腎臓での合成が誘導される。そのため、イトヨ雌を用いたアンドロゲン様物質の作用評価は非常に有効であると考えられる。イトヨではスピギンに加えて、ビテロゲニンもエストロゲン様作用のバイオマーカーとして利用可能であることから、雌雄両方を用いて化学物質のもつエストロゲンおよびアンドロゲン様作用を同時に、同じ試験環境(曝露環境)で評価することができる唯一の脊椎動物である。本課題では、イトヨを用いた新たな内分泌かく乱作用評価系の構築・運用を目的に、研究を推進している。 平成18年度では、イトヨビテロゲニンの精製を行い、少なくとも2種類のビテロゲニンが存在することを明らかにした。現在、精製ビテロゲニンに対する特異抗体を作製中であり、平成19年度においては化学発光免疫測定法(CLIA)を用いたビテロゲニン測定系を確立する。 また、スピギンmRNA測定のためのリアルタイム定量RT-PCR測定系を確立した。バイオマーカーであるスピギンとともに、内部対照遺伝子としてRibosomal protein L8(L8)mRNAを同時測定し、L8 mRNA量による補正を行うことで高感度かつ高精度なスピギンmRNA測定系を確立した。 さらに、曝露試験法の条件設定を行った。平成18年度は、曝露期間についての検討を行い、10^<-1>〜10^1μg/Lのメチルテストステロン曝露では、わずか3日間の曝露においてもスピギンmRNA濃度の有意な上昇が認められ、これまで生物曝露試験で広く用いられている21日間から、大幅な曝露期間の短縮化も可能であることを見いだした。
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