2007 Fiscal Year Annual Research Report
リーチング菌と分解菌の組合せによる汚染土壌の環境低負荷型分解法と金属リサイクル
Project/Area Number |
18510068
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
神谷 修 Akita University, 工学資源学部, 教授 (60113891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴山 敦 秋田大学, 工学資源学部, 准教授 (30323132)
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Keywords | 環境技術 / 公害防止・対策 / 国際貢献 / 土壤圏現象 / 微生物 / 酸性排水 / アンモニア生成細菌 / 中和作用 |
Research Abstract |
歴史的に多数の鉱山が発展衰退した秋田の地域性から培われた土壌浄化技術を応用し、汚染された土壌の浄化と資源の有効利用に向けて基礎的な実験を実施した。平成19年度は,前年度と同様に対象地域としてチュニジア共和国のスファックス市の工業地域とした。現地より採取した工業堆積残渣をサンプルとして,始めに資源回収を試みた。リン酸系農業肥料工場より排出された堆積残渣は,石膏(CaSO_4)が主な構成物質であるので、リサイクルする対象資源としては石膏のみとした。 鉱山技術である浮遊選鉱法(浮選と呼ぶ)を用いて純度の高い白色石膏を取り出すことが可能であった。浮選を効率的に実施するため,凝集剤として硫酸アルミニウムを添加しところ,石膏の回収率を向上させることに成功した。これらの石膏品位を調べたところ,セメントの遅延剤として使用できる品位に十分達していることが確認された。 次に、環境負荷低減を試みた。汚染物質としては,硫酸によりpH1.8程度の強酸性になっていることである。残渣を洗浄した強酸性の溶液は,炭酸カルシウムによる中和を実施した。残渣試料100gから得られる酸性水溶液に対して,およそ3gの炭酸カルシウムを加えることで,pH6になり中和することができた。 さらに、微生物の作用による中和の可能性を検討した。アンモニアを生成する3種類の細菌、Rhizopus delmer,Aspergillus niger,MJKC25を用いた。まず、残渣100gに精製水100mlを加えたものを濾過して上澄み水を含むLB寒天培地に、上記の細菌を植えつけて観察した。pH指示薬のメチルレッドの色が赤色から黄色に変化したことから、いずれの菌においても強酸性倍地中での生息と中和作用が確認された。次に、酸性水を含む培養液中での細菌の効果を検討した。出発時のpHが4.9から6.3の場合は、4日程度の期間でpHは7から8に上昇することから、中和作用が確認された。一方では、出発時のpHが3に近い場合は、ほとんど中和が確認できなかった。以上のことから、残渣から染み出す排水を対象として、細菌による中和処理は可能であることが検証された。
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Research Products
(2 results)