2008 Fiscal Year Annual Research Report
土壌中の移流・分散制御による選択的物質輸送を用いた省資源・低コスト土壌環境管理
Project/Area Number |
18510074
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
森 也寸志 Shimane University, 生物資源科学部, 准教授 (80252899)
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Keywords | 環境技術 / 土壌圏現象 / 移流・分散 / 浸透現象 / 土壌汚染 / 施肥管理 / 環境保全 |
Research Abstract |
土壌が劣化する過程のひとつとして表層土壌の透水性の低下が挙げられる.そのような土壌環境では表面流が容易に発生し,有機物が表層にだけ集中する傾向が見られる.これまでにマクロポアを利用した浸透速度制御によって土壌中への溶質の分散に成功してきたので,本年度では土壌表層の養分を雨水と共に浸透させ,有機物を深部に送ることを考えた.劣化土壌を代表して花商岩質未風化土壌であるマサ土を直径5cm高さ10cmの土壌カラムに充填し,有機物を代表する物質として樹幹流を想定して溶質移動実験を行った.土壌中のマクロボアの有無の影響を評価するために,溶質パルスを異なる流速(10-4cm/s。10-5cm/s)で滴下した.流出水のEC,TOC,TNを,また,土壌中に残留する有機物量を測定し,樹幹流に含まれる難分解性有機物が土壌中へ浸透する際,効果的に浸透・貯留される環境条件を探った.樹幹流の溶質パルスを滴下した実験では,流量小・マクロポアありの場合に正規分布様の破過曲線が得られ,土壌全体での溶質の混合が起こっていると推察された,流量が大きくなるとこの形は大きく崩れたが,マクロポアがある方がより均等混合の形状を維持した.土壌から分析される有機物量はマクロポアが存在する場合に限り。流量の大小に関わらず同等の値を示し,土壌中に均等に残留したことを示唆していた.他方マクロポアが無ければ表層で有機物量が集中する傾向が見られた.栄養状態の悪い圃場において上記の土壌構造の違いを作って年間を通じてモニタリングをすると,人工マクロポア構造を有する土壌について降雨が効率的に下方浸透する様子が捉えられ,一年で植生に違いが得られた.
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Research Products
(15 results)